幼い日の思い出
いつも通り
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戸惑ったように彼を見た。
が、イタチが無視を貫けば舌打ちを一つ飛ばすと同時に、その場から消え失せる。
イタチは暗部がいた場所を睥睨する。彼の瞳が一瞬、赤みを帯びた。
めざとく気が付いたサスケとナルトが、同時にイタチを呼ぶ。
「イタチ兄?」
「兄さん?」
困惑している二人に、何でもないよと笑みを浮かべて返す。そうすればそれだけで、二人の顔から不安の色が消える。
イタチは、自分から少し離れた場所で顔を曇らせているカトナをちょいちょいと招いた。
カトナが慌てて近づいてくる。申し訳なさそうな顔をして俯く彼女に微笑みかけて、そっと、サスケ達に聞こえないように囁いた。
「大丈夫だ、気にするな」
「…う、ん」
カトナがその言葉にこくりと頷く、イタチは静かに目を細めた。
うずまきカトナには、監視が付いていた。
暗部という、里で最も強い忍びたちによって構成された特殊部隊による、一部の隙も一瞬の暇すらも許されない、自由などという言葉が無い監視。
カトナは別に、その環境を厭うたことはないし、つけられたところで困ることはないと思っている。
けれども、それが原因で、無関係のイタチをも巻き込んでしまった。
唇をかみしめたカトナの瞳に、悲壮な色がうつりこむ。
そんな彼女を喜ばせようと、イタチはいつも通りカトナの頭を撫でた。
うちはイタチ。
この歳にて、里の長である火影から「うずまきカトナ」という最重要候補の監視を任されている彼は、火影からもう一つの伝令を受けていた。
彼らと遊ぶこと。
強制されたわけではない、任務でもない。ただのお願い事の一つであるそれ。
イタチはそれを今日もまた全うし、彼ら双子と弟のサスケと共に遊ぶのだ。
彼ら二人がいつか、この木の葉の里で遊べるような環境を整えるために。
ふと、イタチは空を見上げた。
かぁかぁと、青い空と白い雲のコントラストには似合わない、不協和音ともいえる存在である鴉の存在が目に飛び込んでくる。
彼は困ったような顔で頭をかいた。
「火影様に呼び出された。すまないが、先に遊んでてくれ」
「いって、らっしゃい」
「むー、仕方ないけど、早く帰ってきてくれってばよ!」
「兄さん、お仕事がんばってきてね!」
三者三様の反応を見せた三人に手を振って、イタチは風のように周囲を駆け抜けた。
目指すは、火影の居るあの部屋だった。
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