幼い日の思い出
いつも通り
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姿を見咎めて、汚物でも見るかのように目を細めた。が、嬉しそうなナルトの姿を目の当たりにして、毒気が抜かれたようになる。特に、カトナに罵詈雑言を吐くこともせず、黙ってその場を離れていく。
ナルトの、おかげ。
わずかに頬を緩ませて、けれどそれ以上、顔に出すことはしない。
カトナは周囲を警戒して視線を巡らせた。
ここはうちはの区画だ。木の葉隠れの里の中心街からは離れた場所にあるので、里人たちは好んで近づくことはしない。だが決して、安全地帯というわけでもない。
うちはの人間は排他的な側面があるので、カトナやナルトのような異分子がいることを嫌がる節がある。いつ狙われるかもわからない。
それにと、カトナはちらりと視線を滑らせる。
うちは区画にある電燈。今は動いていないそれには、一瞥しただけではわからないようになっているが、監視カメラが仕掛けられている。
うちは一族を監視するためのものらしいが、詳しくは知らない。ただ、誰が見ているかもわからない映像記録に、大事な弟の姿を残させてたまるか。
カトナは立ち位置を変えて、カメラにナルトが映らないように庇う。
数秒の間が開いた後、勢いよく門が開かれ、中からナルト達と同じくらいの背格好の黒髪の少年と、その少年より少し大きい背格好の少年が飛び出してくる。
「ナルトっ、カトナ!」
「二人とも、早かったな」
黒髪の少年は、ナルトに飛び掛るような勢いで手を突き出す。その少年を見て、心得たというように、ナルトもほかの子供に比べると小さめの手を、少年の手に合わせた。
パァンッという音と共に合わさった手に、二人とも嬉しそうに目を見開いた。
それを微笑ましそうに見ていたカトナは、いきなりぽんっと頭に置かれた手に驚いて、めったに変えない表情を動かした。
慌てて頭の上の手を払いのけようとしたが、それよりも先にかけられた声に押し黙る。
「別にいいだろう、カトナ?」
「…こども、あつかい、しないで、イタチ兄さん」
ぷいっと顔をそむけたカトナに、イタチは愛しそうに目を細めた後、その赤い髪の毛を丁寧に丁寧に掬って撫でる。
優しい手つきに、かぁぁっという擬音が似合うほど、カトナの頬が髪の毛と同じくらいの赤で染まった。恥ずかしそうに唇をとがらせて俯く。
「イタチ兄、カトナばっかずるいってば! 俺も、俺も撫でて!」
その瞬間、ナルトが声をあげる。
自分も自分もと背伸びをして主張するナルトに、イタチは微笑んだ。
こうして、自分の心のままに動けるところがナルトのいいところだ。子供らしい素直さとまっすぐさは、見るものを引き付ける。
笑うイタチがナルトの頭を撫でる。
それを、サスケはじっと黒い目で見つめる。
ちらりと視界の端で、未だに頬
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