幼い日の思い出
いつも通り
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ャクラと全く同質の色をした髪の毛。
赤々と燃え上がる火の色の髪をしたその少女は、淡々とした瞳でこちらを見つめ、感情の欠けた表情を浮かべ、こちらを見る視線は虫けらを見るかのようなものであった。
その時、彼らはこう思ったのだ
『この子供こそが、九尾の人柱力であると』
真実は全く違うのに、彼らはそう思いこんだ。
赤い髪の毛は九尾の色のチャクラだ。あの赤い髪の毛は九尾のものだ。あの髪の毛を持つ少女は、狐の化け物だ。あの少女は”九尾の人柱力”だ。
けれど、違う。
その考え方は全くもって違い、その事実は偽りでしかなく、真実は嘘で隠されて、誰の目にも見えなくなってしまっている。
彼女は”九尾の人柱力”ではない。彼女はそれの、双子の姉でしかない。
九尾なんて存在を、毛ほども彼女は触れたことが無い。彼女のチャクラは人間のものでしかない。
彼女のこの赤い髪の毛は、九尾の色なんかでは決してない。
この赤い髪の毛の意味を、里の人たちははかり違えていると、カトナは内心でくすくすと嘲笑った。
彼女の赤い髪の毛は九尾のチャクラの色ではない。
彼女の髪の毛は、忍びとしての生きざまを守ろうとした、火の色だ。
彼女のその赤い瞳は、彼女たちをこの世に生んでくれた、夕焼け色だ。
同時にその色は、
「流れる、血の色」
ポツリとその言葉を放ったカトナは、自分の目の前を走り抜けるその存在からあふれる光を見て、嬉しそうに顔を破顔させた。
浮かんだ笑顔は子供らしいものであったが、同時に出した言葉は、到底子供が出すようなものではなかったけれど…。けれども確かに、彼女はそんな言葉を吐き出した。
耳ざとく聞きとがめたナルトがぴたりと足を止め、不思議そうに瞳を瞬かせた。
「カトナ?」
その瞳に、カトナは意表が付かれたように息を呑んだ。
と思うと、先ほどの笑顔を瞬く間に拭い去り、もとの無表情になる。
一瞬にして感情を消し去ったカトナは、こちらをすべて見透かすような弟の瞳から逃げるように顔を俯かせた。
「なん、でも、ない、よ…」
「?? そうかってば?」
「うん、それより、ついた」
白色の、いかにもといった色で塗られた塀で厳重に囲まれたお屋敷の前で立ち止まる。
自分たちが来たかった場所かどうかを用心深く確かめながら、ナルトの腕を引っ張った。
対するナルトは、その言葉に満面の笑みを浮かべ、腕が引っ張られた方向に体を向けると、この里の中でも、一、二を争う豪邸を持つ名家の名を授かっている人間の名を、勢いよく呼んだ。
「サッ、ス、ケっ! いっ、たち兄! あーそぼっ!!」
耳によく届く声が道に広がり、数人の通行人がナルトの方向に振り返った。
一瞬、彼らはカトナの
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