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王道を走れば:幻想にて
第二章、その6:王都
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利口だから、きっとこれくらいは出来る筈」
「はえっ!?あっ、と、当然じゃないですか!それくらいのルールの一つや二つ、絶対に破らないように気を付けますから、どうぞ御安心を!!」
((嗚呼・・・この口振りは駄目だな))

 無理して笑みを湛える慧卓の顔に説得力の一字も見受けられない。きっと彼の事、どうしようもない事態に陥ったら喧嘩の一つや二つ、要らぬ方角へ発展させかねない。だがそうでなくとも、華奢で武に精通せぬ彼であるからそもそもまともな喧嘩も出来ないだろう。彼単独で行動させてはならないと、熊美らは自然と視線を通わせて頷きあった。  
 からからと晴れた空を担ぐように眼前に丘が広がり、一本の大きな樹木が聳え立っている。兵等の先頭で悠然と馬を進めるコーデリア王女の背を見詰めている中、アリッサが慧卓に声をかけた。  

「此処を越えれば、いよいよ王都だ」
「そ、そうですか・・・あぁぁ、緊張してきた・・・」
「そんなに気張らなくても良いわよ。どっしりと、男らしく構えていなさい。・・・懐かしいわ・・・此の木、まだ立っているのね・・・」

 木を見て懐かしむ熊美。きっと王都からこの木を何度も見た事があるのだろう。笠の様に盛り上がった緑葉がひらひらと風に棚引く様は、自然と心に癒しを届ける静謐さを抱いていた。成程、戦に明け暮れていた熊美が好くのも当然の風景といえるだろう。
 足を進ませて横に並べばその巨体がより理解できた。高さは優に10メートルは越えている。さながら酒樽を幾つも積み上げたが如き逞しき姿であり、癒しとは相反する雄大さを併せ持つ姿でもあった。
 それに見とれていると、ふと馬脚の進みが変化したのが感じられる。勾配を上るその感覚が一転、坂を下るようなえもいえぬ浮遊感に転じたのだ。詰まる所を、アリッサが代弁する。 

「見えたぞ。マイン王国が王都、『ラザフォート』だ」

 視界がばっと開けた先に、慧卓は大いなる都の全貌を捉えた。  
 元々は丘陵地帯であったであろう、その土地は中央が盛り上がった形をしており、其処を中心として幾多の軒を生やしている。丘陵地帯に聳え立つ白き城壁に取り囲まれて、その都は壮麗な姿を照らしていた。
 その都の中央には、まるで心臓の如く、都の柱ともいうべき高さを誇った一本の白金の塔が聳え立っている。その塔のひとつ奥に、遠目からでも分かるほどの清廉な白に磨かれた宮殿が建立している。その二つの建造物を取り囲むように煉瓦の屋根を頂く街並みが広がり、中央北側の部分のみが幾分か開けたスペースを持っている。其処が恐らく集兵場、或いは広場なのだろう。整然として乱れの無い街並みはそれだけで規律と由緒の正しさを物語るかのようであり、燦燦とした日光が街並みを白く輝かせている様は、正に清廉、その一字に尽きる美しさである。
 高貴な
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