第百七十一話 ユリアン帰還
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誤魔化した。
昼過ぎ、ソワソワしながら、ヤンが待っていると、玄関のチャイムが鳴った。飛び跳ねるように玄関を開けると其処には、数ヶ月前に別れた頃より若干窶れた感じのユリアンが不安そうな顔で一緒に来た軍の関係者と共に立っていた。
「ヤン大佐、ユリアン・ミンツ氏です、宜しく」
そう言い残して関係者は帰っていく。玄関前には不安そうなユリアンと、目に涙を浮かべているヤンとユリアンが残された。
「ユリアン、お帰り」
ヤンはやっとその言葉を言いながら、ユリアンを抱きしめる。
不安そうだったユリアンの目から大粒の涙が流れる。
「ヤン大佐、ヤン大佐、ヤン大佐!」
「ユリアン、よく帰って来てくれた。お帰りユリアン」
「ヤン大佐、ヤン大佐、ただいま」
二人してそのまま泣き続けた。
その夜は夜遅くまでヤンとユリアンは話し続けた。
「ヤン大佐。僕のために宇宙艦隊総司令部から出されてしまって済みません」
「何を言うんだいユリアン、彼処にいるのは苦痛だったからね。丁度良い機会だよ」
前日から徹夜して、翌朝寝坊したヤンだが、ユリアンの作ってくれた朝食を久しぶりに食べて、また涙が出てきたが、昼過ぎにはユリアンに納戸の惨状を見つけられて、引越前に大掃除をするはめになり疲労困憊になるのであった。
しかし、ユリアンが帰宅した結果ヤンの表情に明るさが戻り、ユリアンもヤンの真心に触れ、益々師弟の絆は強くなったのである。
宇宙暦794年9月20日
■自由惑星同盟首都星ハイネセン 統合作戦本部
第七艦隊第三分艦隊参謀長に就任前、ヤンは統合作戦本部長シトレ元帥に呼ばれて統合作戦本部へ出頭した。
「ヤン・ウェンリー大佐です」
「入りたまえ」
本部長室には、先客の宇宙艦隊総参謀長グリーンヒル大将とキャゼルヌ准将が待っていた。
「よう、ヤン」
「ヤン大佐、御苦労」
書類を見ていたシトレ元帥がヤンに目を向ける。
「本部長、今回はどの様な事でしょうか?」
ヤンの質問にシトレは持っていた書類を渡す。
その書類を読んだヤンは考え込む。
「此は……」
「今回の拉致被害者帰国と捕虜交換に関する事だが、帝国側が引き渡し場所をイゼルローン要塞に指定してきた。その上何故かキャゼルヌ准将、ヤン大佐、フォーク中佐の参加を求めている」
何故だが判らないがと言う顔でシトレ元帥がヤンの顔を見る。
「小官にも何が何やら判らない状態です」
ヤンの困惑にグリーンヒル大将が話す。
「帝国側の随員なのだが、宇宙艦隊司令長官エッシェンバッハ元帥を団長に皇帝の名代としてウルリッヒ・フォン・ケスラー大将が参加するとの事なのだが」
「ケスラー大将と言えば、第5次イゼルローン要塞攻防戦やヴァンフリート星域会戦で活躍した人物
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