第3章
月光校庭のエクスカリバー
第57話 恋慕する千秋
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長達に意識を割きながら後を着ける。
日が暮れ始めた中、俺と千秋は帰路についていた。
「いろいろ見て回ったな」
「うん。……でも私の物ばっかりでイッセー兄はつまんなかったんじゃないの?…」
「そんな事ないって。千秋とこうして出掛けるだけでもめっちゃ楽しいぜ!」
「ならよかった。私も楽しかったよ」
「そっか。ならよかったよ」
ああ、なんか平和だなぁ。
悪魔になってからいろいろと気の休まらない日々が続いたからな。
片腕がドラゴンになったりしちまったしな。
もっとも、今は見た目だけ元の人の腕に戻っていた。
その腕を戻す方法を明日夏が教えてくれたのだが、まさか部長と朱乃さんがあんな事をするなんて、グフフ、部長も取り戻せて一石二鳥だぜ!
なんて思いながら、何気なく左腕を見てると、千秋が左腕に触れてきた。
「千秋?」
千秋は沈痛な面持ちで俺の左腕をさすりだす。
「……もうこの腕はイッセー兄の腕じゃないんだよね?……」
「……ああ…」
さっきまであんなに楽しそうにしていたのに今は見る影もなかった。
部長を助けた出した後、腕の事を知った千秋に鶇さんがアーシア同様に泣き出してしまった。
燕ちゃんも今にも泣き出しそうな顔をしていた。
俺にとっては安い犠牲だったけど千秋達にとってはそうもいかなかったらしい。
「……ねえ、イッセー兄…」
「何だ?」
「……もし、部長や仲間の誰かが危険な状態になって、どうしようもなくなったら…」
「……また、あの鎧を着るかな」
俺はそう答えた。
……それでまた、千秋を泣かす事になるのが心苦しいだけどな…。
案の定、千秋は今にも泣き出しそうだった。
「……鎧を着ずに解決…て言うか、何事も無いのが一番なんだけどな。……でも、本当にどうしようも無い時、俺の体の一部であの力を手にいれて、部長や仲間を助けられるのなら、安いもん…」
「安くないよ!!」
千秋が顔を険しくして叫ぶ。
「……もう無茶しないで!……ゲームの時は死に掛けて!……部長の為に片腕を差し出して!……」
「……ごめん、本当に心配掛けて…」
俺は千秋の頭を撫でながら告げる。
「でも、取り返しのつかない事になるのは嫌だからな」
「………」
「もちろん、死ぬ気はねえよ。命は惜しいからな」
「……じゃあ、一つだけ約束して!……死なないって約束して!……ずっと一緒にいるって約束して!……もう、大好きな人が死ぬのは……」
千秋の言葉を聞いて思い出す。
明日夏に聞いた事だが、元来千秋は甘えん坊で自分のお父さんとお母さんが大好きだったらしい。
いつも両親にべったりだったらしい。
……でも、その大好きな両親が死んだ…。
……しかも、目の前でだ…。
当然千秋のショックは大きく、引き込もってしまったらしい。
当時の俺は、そん
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