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王道を走れば:幻想にて
第二章、その4:甘味の後味
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らかい感触を感じているだけで幸福なんだ!吐息を近くに感じるだけで至福なんだよ!!これ以上の幸を求めるなんて...)
「んん...ばかぁ...おっきぃ...」
(すんませんっ、もう耐えられませんってぇぇぇ!!!!)

 何処か色欲を感じる言葉に苦悩して、慧卓は内股気味に道を歩く。もう直ぐ近くまで迫っている宿屋の入り口が、まるでスタート地点から見たフルマラソンのゴールテープのように感じられる。そして背中に感じるふくよかな感触は、慧卓の本能の箍を確実に蝕んでいった。
 それでも慧卓は路地裏に飛び込んでコーデリアに事を及びたいという本能を抑え込み、何とか苦労して宿屋へと辿り着いた。入り口の戸の前で、アリッサが爽やかな笑みを浮かべて待ち構えている。前日と同じ、爽やかな青空模様の服装だ。

「やっと戻ったなっ、ケイタク殿。其の様子じゃ中々遊びまわったらしいじゃないか?」
「はっ、はははは...色んな意味で疲れましたよ...」
「そうかそうか...可愛いだろ?」
「この世の天使って彼女の事だったんですね」
「お前になら分かると思った私は矢張り正しかった!!!」

 がしっと慧卓の肩を掴み、アリッサは神様だって見た事が無いような満面の笑みを浮かべた。余程コーデリアを溺愛しているらしい。だが凛然キャラを崩壊させるような笑みは、慧卓にとってのアリッサのイメージを容易く崩壊させてしまった。以前に見たモノも充分酷いものだったが。

「ではコーデリア王女は私が代わりにおぶろう。お前には客人の御相手を頼みたいのでな」
「きゃっ、客人ですと?何方でしょうか?」
「うむ。中に入れば分かるぞ。ささっ、代わるぞ、すぐに代わるぞ、今すぐ代わらせろ!」

 鼻息荒いアリッサに、慧卓は名残惜しげにコーデリアのおんぶという大役を譲った。嬉々として背中に重みを感じるアリッサ。その揺さぶりに反応してか、コーデリアが寝言を小さく漏らした。

「んん...無理ぃ......おっきいよぉ...」
「うふふ、おっきいのかぁ、うへへへへ...コーデリアは本当に可愛いなぁ...あっ、鼻血が...」
(大丈夫なのか...この近衛騎士は?)

 色んな意味で心配になる。慧卓の心配を他所にアリッサは先に宿屋へと消えて行った。 

「さってと、何方が待っているんでしょうか...」

 身体に残るヴァイタリティー。全快で100%というのならば、今は大体40%といったところか。それでも客相手に話し込むとなっても、10%くらいは残るであろう。その10%で夕餉も就寝も済ませられる。
 気楽に考えながら慧卓は宿屋の中へと入っていく。気だるさを感じながら歩いていくと、ハボックの姿が其処にあった。彼の真向かいに、如何にも偉い人といった風に、気品を感じさせる礼装に身を包んだ三人の男
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