第二章、その4:甘味の後味
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来た。お陰で、此処まで大規模な催しとなっても大した混乱が生じなかった」
「此方はとんとん拍子でしたよ、流石は機を見るに敏な商人ギルドです。利害の一致さえすれば簡単に大規模に動いてくれる。それぞれの商人達が己の自慢の商品を露店に並べていますから、とても良い販売競争となるでしょうな」
「全くだよ...だがな...」
「えぇ...」
『流石に此処まで繁盛するとは...』
二人は建物の影、路地裏へと視線を向かわせる。普段から暗がりを保っていたその通路には、通りには見られぬ下品な光景が広がっている。それは、祭事で消費された商品の成れの果て、道端に散らかった塵屑だらけの光景だ。放り捨てられたスプーンや串、これ幸いとばかりに抓み出された古着や腐敗した食品|(茸やパンが目立つ)、そしてあろう事か人の老廃物らしき物まで其処にあった。塵の集積場を用意出来なかった結果がこれだ。夜盗が見れば歓喜するに違いない。何せ商売道具になりそうな物が探せば探すほどに、其処に眠っているかもしれないからだ。
「これは後始末が物凄く大変だぞ...催しが終わったら、きっと立案者はとんでもない説教を喰らう羽目となるだろうな」
「それにこんな祭りは滅多にありませんから、民衆はきっと祭りの継続を願い出るでしょうな...一年に一度とかそんな単位でも、其の度に商人ギルドの長は懊悩する羽目となるでしょうなぁ...いやはや」
『後が怖いな(ですね)〜...』
頷きあう二人。彼らの想像の中では、発案者は此の街の統治者相手に土下座を構えている姿が映り込んでいた。
一方で別の建物からも、複数の視線が慧卓らの甘い光景を見詰め、否、睨んでいた。嫉妬に胸焦がすその者達の名を、ミシェル、パックという。
「くそっ、ケイタクの野朗!一人姫様とイチャイチャしやがって...もげて爆死しろっ!!!」
「おいっ、声が大きいぞ!バレちまったらどうするんだ!しかし爆死しろ」
共に恋を未だ成就出来ぬ身分。欲望の捌け口は全て娼婦にしか向けられた事が無い悲惨さである。そんな二人を嘲笑うかのように慧卓が更にイチャイチャをコーデリアに仕掛ける。
「うわっ、うわ!あいつ肩が触れ合う距離まで近付きやがった!畜生!!いよいよもって爆死しろ!!」
「全くだ!俺達のコーデリア姫を、まるで己の女のように扱いやがって...許せん””っっっ!!!!!!!」
腰に携えた剣の柄を握り締め、二人は視線を交わす。
「かくなる上は、吶喊だ!あいつらの仲を引き裂いてやるっっ!!!」
「独り身の俺達に先んじて幸せに成ろうと企図する裏切り者を、正義の鉄槌で粉砕してやるっっ!!!」
嫉妬が怨嗟を変わり、現実の認識すら危くなるパック。
「往くぜ、ミシェルっ!」
「おうともさ、パックっ!!!」
『
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