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王道を走れば:幻想にて
第二章、その4:甘味の後味
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が座っていた。

「今参られたのがそうです。彼が此度の祭事の発案者、ケイタク=ミジョー殿。再び『セラム』に顕現された異界の戦士の一人です」
「初めまして、ミジョー殿。私はこの街の造営官、分かりやすくいうと、国王陛下より都市管理を任されているワーグナーだ」
「...はっ、はひぃ!?」

 カイゼル髭を生やした男の正体に慧卓は不意打ちとも言うべき驚愕を浮かべた。続いて几帳面そうな醤油顔の男が、そして恰幅の良い狸面の男が話す。

「私は街の財政管理を任されている、財務官のジョンソンです。此度の祭事の成功、先ずはお慶び申し上げます」
「私は商人ギルドの長を務めているピノだ。而してミジョー殿、我等一同、此処まで大規模なものになるとは露知らず、というのが偽らざる本音でな...」

 拙い。非常に拙い。此の流れは明らかに説教コースだ。
 慧卓の懸念を叶えるかのように男達が作り笑みを浮かべながら続けざまに語る。

「ミジョー殿、このように大掛かりな催しとなれば、財政に多大な負担を掛けるのはお分かりの筈でしたよね?発案の際には思い至らなかったのでしょうか?」
「そして大規模な祭事となればそれに関わる人員出動、そして祭事に関わる管区の警備等に多大な労を費やすが畢竟。これほどの催しを発案した賢者なのではれば、この程度の事は簡単に予想は出来た筈だ」
「加えて祭事において商人等の販売競争や物資消費が突発的に激化してしまった。ギルドの面子は競争による格差を抑えたり、消費を抑えるのに必死で、祭りを愉しむ所ではなかったのだよ。何故もっと早く知らせてくれなかったのかな?そうなれば、対策も早くに取れたのに」

 氷結した刃のような瞳が慧卓の心を切り裂いていく。ヴァイタリティー10%分の汗を背に掻きながら、慧卓は必死に言い訳を考えていく。思考の波の中、ふざけた冗談から生真面目な革命論、パンの味の論評、果ては至高の女性の胸の形についての理念すら流れていく。
 彼の答えを急くように、男達が詰め寄った。

『何故ですかな、ミジョー殿?』
「...し、強いていうなれば...」
『いうなれば?』

 慧卓は痙攣しかけの下手糞な笑みを飾り、思いついた言い訳を感じるままに吐き出す。

「た、唯の思いつきだから?」
『......其処に座れ』
「はい」

 悪戯がばれてしょげている子供のように慧卓は項垂れ、彼らの真向かいの椅子に座り込んだ。そしてそれを機に始まる、説教紛いの政策論と経営論を前に、頭の中に混沌の海が広がるのを感じた。

「...しまったっ、お金が全然無いっ!!やっちゃったぁぁあぁああああっっ!!!!!」

 一方其の頃、とある街中の片隅で、少女トニアが天に向かって吼える姿が目撃されたという。かぁかぁと鳴く鴉は、まるで人間を馬鹿に
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