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王道を走れば:幻想にて
第二章、その3:御勉強です、確りなさい
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、どうか我等に御任せいただきたい!この騎士バッカス、神をも惑わす腹案が御座います!!」
(ふ、不安だ...これ絶対碌でもないアイディアだろ...)
「...事此処に至ってはないもの強請りは出来ん...聞くぞ」
(えっ、聞くの!?)

 思わずぎょっとしてアリッサを見詰める慧卓であったが、即座に返された有無を言わせぬ鋭い視線に窮して、納得出来ぬ気持ちを抑えようと紅茶を一気に飲み干した。
 それに慧卓は驚きだけではなく、僅かな希望もまた持ち合わせていたのだ。彼をそう思わせる不敵な笑みを浮かべたハボックは、その表情のままに告げる。 

「近衛殿、話を聞くに殿下は街で甘味をお探しと聞き受けます。殿下の舌と心を溶かすような、至高の甘味であると」
「あぁ、さっきからそう言っておる」
「なれば話は早い!街一番の料理職人を一箇所に集わせ、至高の甘味を作ればよいのです!」
(なにいってやがりますかねぇ、このクリティカルイディオットは)

 突拍子の無い言葉は、慧卓の希望を軽くスルーするに等しき荒唐無稽なものであった。ハボックは続ける。

「殿下のお口に合う甘味となれば、それを作る職人は当に至高の調理師!!故に、一人や二人ではなく、より多くの数の職人を集めれば、どんな食材でも忽ちーーー」
「あの、貴方が想像している甘味って、数日内で作れるものなんですか?」
「えっ」
「普通はですよ?料理は献立を決めるのから始めて、材料を選んだり調理器具の事前の準備で、其の後で調理でしょう?」
「......おぉ」
「ましてやこの街で新鮮な食材を、しかも甘味に関わる物を扱っている商人は少ないのでは?そんな状況下で街で料理の腕を振るう方々に、才能と努力を結集した至高の甘味を作らせるなんて、難易度高すぎますって」

 慧卓は我慢できずに口を挟んでしまう。このままこれを実行されたら誰も得をしない、そう思ったからか、話は自然と説教染みたものに変貌していった。
 答えを返せずにいたハボックは、後ろに控えている仲間に助けを求める。

「おっ、お前らも、なんとか言ったらどうなんだ!ほら!」
「食べられないのか...チェリーパイ」
「食べたかったなぁ...アップルパイ」
「お、おい、お前らぁ!!」

 早々に諦めに走った二人を見てアリッサは唖然としている。一方で慧卓は聞き慣れた単語を耳にして、頭の上に電灯を燈して尋ねる。  

「あの、今言った、チェリーパイというのは?」
「俺達の故郷じゃこういうモンをおやつとかに出してくれたのさ...まぁ、食糧が余分に余った時しか作ってくれなかったけど、それでも甘くて上手いんだぜ?」
「一流の職人が作ったもんなら滅茶苦茶上手いと踏んで付いて来たんだが、こいうのは上手くいかないもんだよなぁ...」
「お、お前
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