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王道を走れば:幻想にて
第二章、その3:御勉強です、確りなさい
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差を余り理解されていないのかも」
「って事は、王女様は街の中に宮殿の食卓に並ぶものと同じくらい、美味なものがあると想像されている可能性も否めない...」
「拙いな...ハードルが一つ上がってしまったぞ」
「えぇ...拙いですね」

 再び思考を巡らす二人。だがうんうんと悩み唸るだけで碌にアイディア一つ浮かんでこない。内心で立案一つ出来ぬ自分に苛立ちを募らせたアリッサが、思い出したかのようにはっと面を上げた。

「こうなっては我等だけでは解決出来ん!応援を呼ぼう!」
「賛成です!...ところで、応援とは?」
「うむ、こいつ等だ」

 アリッサは戸に向かって、大きくぱんぱんと手を叩く。まるでそれが開幕の合図であるかのように、扉越しに傾き者の如く着飾った名乗りが、聞いた事のある声で吠え立てられた。

「セラムに宿る華一輪、絢爛なれと咲きましてぇ、色を運ぶは修羅の道ぃ!!」
「然れば我等は歌いませう、乙女に薫るうら若き、絶佳の華の恋模様!!」
「誰が呼んだか悪戯者、馬鹿と阿呆と呼ばれるも、真っ直ぐ迷わず進みます、気障で一途な男道ぃ!!」
(......あ、こいつら)

 それを誰か言わんとした時、戸がばんっと勢い良く開けられて、一見クールでその実滑稽なポーズを凛然と決める三人の男が現れた。左右に鶴の如く身体を広げるミシェルとパック。そして中央には獅子の如く手足を伸ばして爪を描く男。それはあろう事か、王国兵の指揮官たるハボックその人であった。ノリノリに腕を構えて笑みを浮かべている。

『天下を轟々騒がします、コーデリア王女愛好会たぁ、俺達の事よぉ!!!』

 凛々しき王女を兵として敬い、可愛らしい王女を全身全霊を掛けて応援して彼女の願いの成就を目指す。王女を陰より応援する地下組織、それがコーデリア王女愛好会だ。未だ隊員三者の小さき組織は、此処に凛然と召還された。
 だが名乗りが終わった途端、慧卓は破壊する勢いで戸を閉め直し、彼らの姿が消え去る。慧卓は信じられぬ光景を見て目を真ん丸としており、驚き呆れるような表情でアリッサに向き直った。

「一軍の指揮官や兵があんな事してて大丈夫なんですか!?」
「頭抱えさせる事言わないでよ...」

 アリッサでさえ素を露呈して頭を抱える。瞬間、再び戸が勢い良く開け放たれ、真面目軍人キャラを完全に吹き飛ばす言葉をハボックは言い放つ。

「話は聞かせてもらったぞ!!このままでは王朝は滅亡する!!!!」
『な、なんだってーーー!?!?』
「するわけないでしょ...」
「なんでこのノリが此処にもあるんだよ...」

 最早突っ込む気にもなれない。頭を振って諦める慧卓を他所に、ハボックは己の胸に手を当てて、寝台に座り込んで頭を抱えるアリッサに視線を合わせた。

「近衛殿
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