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王道を走れば:幻想にて
第二章、その3:御勉強です、確りなさい
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!!!」
『......はああっ!?』

 いうなりコーデリアは顔を垂れて、顔をつやつやと光る髪の毛で隠す。髪の合間から羞恥に赤みを覚えた頬が垣間見れる。そして其処から覗かれた、一種の妖艶さをも醸し出すように潤んだ琥珀色の瞳を見遣って、慧卓はどきりと胸の高鳴りを覚えた。




「どうしようか...」
「どうしましょう...」

 コーデリアが一気に込み上げた羞恥心から逃れるように部屋を足早に出て行った後、アリッサ等は冷えた紅茶を啜りながら考える。
 慧卓の瞼の裏では、可憐な恥じらいの華を咲かせたコーデリアの表情が何度もフラッシュバックし、彼の心をがっちりと握り締めていた。普段凛々しく装うだけに、そのギャップときたら言葉にできないほどであった。

「まさか王女様にも、あんなに可愛い一面があるとは...結構グラッときましたよ、アリッサさん...」
「あぁ、そうだろう、そうだろう!...幼少の頃はもっと凄かったんだぞ。『ありっしゃ、高いのやってー』とかな...うへへへ...」
「アリッサさん、涎、涎」
「おっと、すまん」

 最早慧卓も慣れたものである。興奮に涎をだらしなく垂らすアリッサに実に自然な動作でハンカチを渡すと、彼女はえもいわれぬ気色悪い笑みをハンカチで拭い去る。涎つきのハンカチなど最早不要だ。

「まぁ、兵士達も欲求を発散するという名目で今日は街に出て行っている。それに山賊攻略が予想の他上手くいったから、日数に余裕があるのも確かだ。特段帰還を慌てる必要もない。だがな...」
「そうですよね...」
『殿下|(王女様)に合うような甘味処って、何処にあるんだ(あるんでしょう)?』

 悩ましく思考を巡らす二人。慧卓は先ず真っ先に現代の甘露、即ちスイーツを想像する。ケーキや、チョコレートなどなど。 

「アリッサさん、この世界の甘味ってどんなのがあるんです?ケーキとか、チョコとか...」
「ちょ、ちょこ?後者の方は全く分からんが、前者なら少しは分かるな...あれだ、パサパサしてて、こんぐらいの丸っこい奴だろ」
「それってパウンドケーキ...?」

 腕の前で小さく作られた円を見て、慧卓は徐々に不安を覚えた。どうも此の世界、甘味らしい甘味に恵まれていないようだ。現代の感覚からいえばそうである。パッサパサのパウンドケーキが甘露に入る時点で、正直慧卓は頭を捻る思いであった。その思考回路、既にお菓子メーカーの陰謀に毒されていると知らずに。

「思ったより事態は難航しそうですね...もしかして王女様って箱入り娘だったりします?」
「箱入りか...コーデリア様は幼少の頃は教会にて修行に励まれ、成長した後は宮殿内にて帝王学等を学ばれていた...故にあの方は普段街に出る事が少ない。恐らく、宮殿内外の実情の
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