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王道を走れば:幻想にて
第二章、その3:御勉強です、確りなさい
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ぶ濡れの身体をタオルで拭いていく。予想外にも、現代のそれと遜色の無い触り心地の良いタオルであった。ベッドを触ってみたが、マットレスはまるで石ころのように硬い。寝たら確実に筋肉痛になる硬さだ。

(ベッド硬過ぎだって...ってか窓狭いよ...まぁ此処じゃガラス窓がついているだけでも裕福なんだろうけど、それでもねぇ...ブツブツ)
 
 不平不満を抱きつつ、慧卓は着替えをベッドにぶちまけて、ずぶ濡れの服を脱ぎ捨てて籠に詰め込む。衣服類は全て水気でいっぱいだ。
 水気を確りとふき取り、ぶちまけた着替えを広げて見る。如何にも中世ファンタジー世界の一般的な服装といった感じのものだ。竜退治に出かける勇者一行を見送る、村人Aといった感じのもの。そそくさとそれに着替えて、窓に己の姿を映そうと窓の曇りを拭く。流線形の鏡に、何処にでも居そうな地味な風貌の若い村人が移りこんだ。、

「...うん」

 外見の地味さに凹みつつ、慧卓は部屋を出る。向かいの部屋の戸をとんとんと鳴らして、アリッサを催促した。

「アリッサさん、入っても大丈夫ですか?」
「ちょ、ちょっと待て!まだ入るな!!......似合ってる、よね?」

 慌て声に続いて自分しか聞こえぬ程度の小声が紡がれた、気がする。

「い、いいぞ」
「失礼します」

 間を置いて許しが得られた。慧卓が中に入り込んで戸を閉め、アリッサに向き直って彼女を真っ直ぐに見詰めた。
 硬めの寝台に腰を下ろし、無骨な鎧を脱ぎ捨てて清楚な私服に着込んだ、栗色ストレーヘアーの美女が其処に居た。足首まで伸びる白く優美なスカート、可憐さを顕すように服袖がひらひらと織り込まれている水色長袖の上着。単色の重ね合わせではあるが、アリッサの清廉さと美麗な顔立ちをより彩るにはこの上ない衣服であった。衣服の下から盛り上がった女性的な起伏もまた、魅力的である。

「......じ、じっとしてないで、何か言えよ...」
「......」
「おいっ、何か言えっっ!!」
「...アリッサさん本当に可愛いなぁ...綺麗だなぁ...」
「ぁ...ぅぅ.....もっ、もういい!授業に移るぞっ!其処に座れ!」
「う〜、照れなくてもいいのに〜」
「いいから座りなさいっ!!」

 にやけ面の慧卓を、アリッサは赤らんだ照れ顔で睨みつける。迫力の無い可憐な瞳に益々と愉悦を覚えて慧卓は内心で高笑いをあげていた。
 その内心を露知らず、アリッサは羞恥を隠すように溜息を零し、話題の転換を図る。

「はぁ...『セラム』について語ろう」
「あっ、御茶入れときますね...ニヤニヤ」
「...ぅぅぅっ...」

 瞳を細めて睨みを利かせるアリッサをにやけ面で見届けながら、慧卓はキャビネットの上に載っていたティーセットに目をつけ
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