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王道を走れば:幻想にて
第二章、その3:御勉強です、確りなさい
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ら、それでもコーデリア王女愛好会の一員かぁ!?溢れ出る愛情と熱意はどうした!!」
『それはそれ、これはこれ』

 あっさりと態度を覆したミシェルとパック。唯食欲の充足に釣られた二人はそれが適わぬと見れば即座に掌を返したのだ。余りの身の移しの早さにハボックが呆れ、そして嘆くように膝を突く。

「ど、どうすれば良いのだ...私達は唯...殿下に、王女様に喜んでもらいたかっただけなのに...」
「......だったら、前提を捨てましょう」
「えっ?」
「...如何いう事だ?」

 唖然とした心から帰来したアリッサが問う。問いかけられた慧卓はばつが悪そうに佇まいを直しながらも確りとした口調で話す。

「王女様の言葉を思い出して下さい。あの人は唯、『街の甘味処に行ってみたい』、そう言ってらした」
「...そうだ」
「そして、俺にも責は大いにありますが、俺達はその言葉に、『一番の』という飾りをつけてしまった。だから難易度が跳ね上がったんです」
「しかし、王女様が喜ぶような甘味でなければならないというのは変わりがないぜ。どうするんだ?」

 ミシェルの言葉に王国の二馬鹿は最もだといわんばかりに頷き、アリッサもまた首肯をする。皆それぞれの思いを抱いているようだが、しかし一様に理解している。ようはコーデリアが可憐な笑顔ではにかんで満足してくれるなら、必要以上の拘りを見せなくてもいいのだと。だが王女という高位の方に御奉仕する以上、自然と肩に力が篭ってしまうのだ。慧卓もまた其の一人。自らよりも社会的地位が高い者を前にすれば、自然と身体が畏まってしまうのだ。その相手がベテランの先生や校長であろうとも、いわんや王女であっても同じ事である。
 だがコーデリアは女の子だ。それも自分と同じくらいの歳であり、第三者である慧卓から見れば彼女は、王女という位に身を寄せて己を必死に守るいたいけな少女にも映るのだ。世界を知らぬ純真さを、冷徹な王族の気品で隠している少女。あの若さであれば夢も恋も抱いて当然の話であるのに彼女はそれを感じさせる素振りも見せない。その気丈さが慧卓にとって何よりも胸を締め付けるものがあった。
 無責任な話ではあるが、唯一日だけでもいいから彼女に歳相応の笑みを、未だ蕾のままでありながらも成長の香りを漂わせる可憐な花弁を咲かす、そんな華のような笑みを浮かばせて遣りたかったのだ。
 慧卓は腕組みをして壁に寄り掛かりながら話す。
 
「...馬鹿な考えかもしれませんが、俺に提案があります」
「馬鹿でも構わん!聞こう」

 慧卓は己の心に思い浮かんだ一つのプランを話し出す。話が進むうちに、皆の表情がどんどんと驚きに変貌していき、一通りの話が終わった時にパックが問いかけた。

「おいおい、正気かよ?」
「俺はこれ以外に手段は無いと思
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