04:御転婆王女は腹黒い
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やらに手を貸したのかもしれない。そう言えば少し前、夜中に魔城が誰かと電話しているのを聞いた。あれだったのか……?
とにかく。
「だからあんたは、絃神島に行こうとしてたんだな……?」
「ええ。祖父の名代として、私が叶瀬夏音を迎えに行く予定でした」
思い当たる節があった。先日紗矢華から連絡があった時に、アルディギアの要人にトラブルがあった、という話をしていたのだ。
「煌坂が言ってたのはあんたのことだったんだな」
「煌坂紗矢華、ですね。第四真祖の情夫の一人の」
「は?」
その瞬間、ラ・フォリアは今までの沈痛そうな表情から、一変していたずらっぽい表情に戻った。
「……情婦?」
「彼女は第四真祖の愛人の一人、と聞きました。愛欲にまみれた卑猥な関係だと」
ぐほっ、と急き込んだのは、古城だけでなく魔城もだった。
「んなわけあるか!!」
「ラ・フォリア!そんなみだらな言葉使っちゃいけません!」
お母さんか、と心の中で突込みを入れておいて、古城はラ・フォリアへの糾弾に戻った。
「大体、そんな無責任な噂、だれがあんたに教えた!?」
「ディミトリエ・ヴァトラーです。戦王領域の貴族の」
「ああああの男はァ……っていうか何であんたがあいつと知り合いなんだよ!」
その言葉に答えたのは、ラ・フォリアではなく立ち直った魔城だった。
「……アルディギアと《戦王領域》は国交が盛んなんだ。その国境を共有しているのがディミトリエ・ヴァトラー公爵のアルデアル領、ってワケさ……アルディギアが親魔族派国家なのは、彼のおかげ、と言っても過言じゃないかもね」
あのはた迷惑な蛇遣いは、古城の知らないところで、実はなかなか良いことをしいてたらしい。一概に迷惑な奴とは言えないのかもしれない。というか、優秀でなければ一国の主などやっていけていないだろう。
「か、叶瀬賢正の魔術には、アルディギア王族の力が必要だ、とおっしゃいましたが……」
その場を取り持とうと、雪菜が声を上げる。今回はこんな役回りばっかりだ。
「五年前、夏音の住んでいた修道院で起こった事故のことは、私も聞いています。恐らく、彼女が無自覚のうちに霊媒の力を解放してしまったのでしょう。それをきっかけに、賢生は夏音の正体を知ったのだと思います」
では――――では、叶瀬賢生は。
「魔術の触媒にするために、叶瀬を引き取ったのか……」
叶瀬親子の関係については、古城の最悪の予想が当たってしまったらしい。
「古城は知っているのですか?賢生の術式を」
「ああ――――俺が最後に見た時、叶瀬は怪物のみたいな姿になって、自分の同類と殺し合ってた」
「怪物……?もしかして、歪んだ天使、みたいな風貌の奴かい?
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