04:御転婆王女は腹黒い
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るが、そんな彼女でも誰かから狙われたり、という事は、今のところない。つまり、ラ・フォリアの――――ひいてはアルディギア王家の霊媒の質は、ちょっと想像を絶する高さ、という事なのだろう。
「メイガスクラフトに雇われている叶瀬賢生は、かつてアルディギアの宮廷魔導士として活動していました。彼の研究していた魔術の多くは、その経歴故、多くが強力な霊媒を必要とします。それも、アルディギア王家のそれのような。だから、危険を冒してまでわたくしを攫おうとしたのでしょう」
「叶瀬賢生って……もしかして叶瀬夏音の義理の父親の?」
その名前に聞き覚えのあった古城は思わず息をのむ。
「知っているのかい?古城」
問うたのは魔城だ。古城はうなずき、
「ああ。そもそもここに来たのが、そいつを追って、だったんだが……なぁ、ラ・フォリア。あんたと叶瀬夏音とあんたは、いったいどういう関係なんだ?いくらなんでも、あんたたち似すぎだろ」
東洋人には西洋人の、西洋人には東洋人の顔の見分けがつきにくい、というが、それを差し引いてもラ・フォリアと夏音は瓜二つである、と形容できた。
それを語るのをためらっているのか、沈黙してしまったラ・フォリアの代わりに、ゆっくりと口を開いたのは魔城だった。
「古城、できれば公になるまでは触れ回ったりしないでほしいんだけど……夏音さんの父親はね、ラ・フォリアの御祖父さん、つまり先代国王なんだ」
「な……」
「祖父が十五年前、アルディギアに住んでいた日本人の女性との間につくった子供が夏音です。母親は出産直後に、祖父に迷惑をかけまいと日本に帰京したそうです。彼女のために祖父が立てたのが――――」
「あの修道院、という事なんですね……」
そうか、と、古城の中で納得がいった。
となると、夏音はあの修道院で、実の母親とともに暮らしていたのかもしれない。夏音は両親を知らない、と言っていたが、もしかしたら彼女の母親は、ずっと近くで、彼女のことを見守っていたのかもしれない――――と、心温まる感傷に浸りかけたところで、古城は事の重大さを思い出した。
「ちょっと待て!?先代国王が父親ってことは、叶瀬は――――」
「私の叔母、という事になりますね。王位継承権はありませんが、それでも王族の一員であることに代わりはありません。先日、祖父の重鎮だった大臣が他界しまして、彼の遺言で夏音の存在が明らかになりました。祖父が逃亡し、祖母は怒り狂っ……いえ、王宮は少々混乱しています。ですが、夏音をこのまま放っておくわけにもいきません」
「…………うん」
珍しく弱気なため息をつくラ・フォリアの後ろで、魔城があさっての方向を見る。どうやら今の話に、どこか心当たりがある節があったらしい。もしかしたら、その先代国王の逃亡と
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