暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
第T章:天使炎上編
02:《焔光の夜伯》、島外へ
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・化学など、様々なジャンルの研究が盛んだ。そもそもこの島の住民の多くが、それらを研究している者とその家族である。なかには普通の住民もいたりするのだが……。とりあえず、本島の一般人とは少しずれた常識をもっているのは共通している。

 そんな絃神島の研究施設の多くが密集しているのが、この絃神島本島北区、その第二層の《研究所街(マギア・バレー)である。ここには研究施設だけでなく、様々な会社のビルも立ち並んでいた。

 古城と雪菜がやってきたのも、そんな研究施設兼社ビルの一つだった。

「……《メイガスクラフト》?」

 古城は駅前に設置された案内板を見て、いぶかしげにそう呟いた。

「確か掃除用の自動人形(オートマタ)を作ってる会社だったか……?」
「はい。叶瀬さんの住所を調べたら、この会社の社宅に住んでいるとのことでしたので」

 隣を歩く雪菜が答える。

「どうやら今のお父さんがここの会社で働いているらしいですね」
「今のって……そうか、叶瀬は元修道院暮らしだったか」

 《聖女》のあだ名にふさわしく(?)夏音は元は修道院に預けられていたらしい。今は引き取り手が見つかって、どうやらその義父の社宅に共暮らししているらしい。

 今、古城たちは夏音に会うために、彼女の家に向かっているのだ。昨日の《仮面憑き》が知り合いであった事を、まだ那月には話していない。いくら那月が信頼がおける存在で、あれでそれなりに慈悲深い側面を持っているとしても、知り合いがどうやら《仮面憑き》らしい、という情報をすんなり渡すのは気が引けた。せめてその前に、夏音に一度会って、事情を聴きたい。

 いくらか歩くと、その社宅が見えてきた。研究施設と一体になっているらしいその建造物は、どこか夏音のイメージとは相いれない冷たさがあった。

 建物の中に入ると、古城はカウンターの女性に話しかけた。外見は人間にそっくりだが、古城が持つ吸血鬼の鋭敏な感覚が、彼女が人間ではなく、オートマタであることを示す。

「すみません、こちらに住んでおられる叶瀬夏音さんにお会いしたいのですが」

 なれない敬語を使いつつ古城が問うと、オートマタの受付嬢は事務的な口調で言う。

「――――三〇四号室の叶瀬夏音は、現在外出中です」
「あーっと……いつごろ戻るかって分かります?」

 古城が問うと、受付嬢はやはり無感情に答えた。

「分かりかねます」

 古城沈黙。もともとコミュニケーション能力に欠ける古城は、返す言葉が見つからない。そもそも古城は、オートマタの様な感情の無い人工物がそれほど得意ではなかった。人間味のなさ、と言うか、『冷たさ』を感じるのだ。

「あの、叶瀬(かなせ)賢生(けんせい)氏はご在宅ですか?」

 沈黙した古城に変わっ
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