第T章:天使炎上編
02:《焔光の夜伯》、島外へ
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う謎の魔族、《仮面憑き》捕縛に臨んだ。その際に、二体いた《仮面憑き》の片方の《仮面》がはずれ、その素顔がさらけ出されたのだ。
その《仮面憑き》は、知り合ったばかりの叶瀬夏音だった。
そこまでを、古城は電話越しに紗矢華に伝えた。
『《仮面憑き》、ねぇ……聞いたことない名前の魔族ね』
「ああ。那月ちゃんも訝しがってた。それに、見た感じと戦った感じ、《魔族》というよりは《天使》とか、なんかそんな感じの方向だった気がする。眷獣が効かねぇんだ」
『嘘っ?第四真祖の眷獣が効かないの?ますます奇怪だわ……』
《仮面憑き》は、災厄にも等しい第四真祖の眷獣の攻撃を、いともたやすく防ぎ、弾き返した。あれは並みの存在には不可能なことである。さらには、あらゆる魔力を無効化する、雪菜の”七式突撃攻魔機槍”すらもはじいたのだ。もはやただの魔族になしえる技ではない。あの武器は、場合によっては吸血鬼の真祖でも殺せる武器なのだ。
そこで古城は、もう一つ紗矢華に伝えなくてはいけないことがあったことに気付く。
「そうだ煌坂。この前の絃神島に行くから会えないかって話なんだけどさ」
『ふぇ!?あ、う、うん』
「すまん。煌坂が時間取れても、多分無理だ」
『ど、どうしてよ』
「詳細は省くが――――魔城兄が、五日前から行方不明だ」
『暁魔城って、あなたのお兄さんだっけ?その人も吸血鬼なんでしょ?アルディギアにいたんだっけ』
「ああ。普段の魔城兄なら、なんの連絡も残さないで消えるなんてありえないんだけど……」
そう。古城の兄である吸血鬼、暁魔城は、五日前の夜から行方不明だ。もともと放浪癖のある吸血鬼だが、必ず何らかの連絡を残してから行方不明になる律儀な習性を持つ彼が、何のメッセージも無く姿を消してしまうのは不自然だった。
一応紗矢華にも紹介はしてあるが、直接の面識はまだないはずだった。ただ、雪菜経由で大分情報を聞いているらしく、魔城についての紗矢華の知識は意外と多かったらしい。
『五日前……それにアルディギア――――』
「……何か知ってるのか?」
『あ、ううん。何でもない。そっか……分かったわ。何かわかったら教えてあげる』
「ああ、悪いな」
『べ、別にあなたの為じゃないんだからね!?』
さっきと同じようなセリフと共に、電話は切れた。
***
翌日の土曜日。学校は休み。一晩中《仮面憑き》及び魔城失踪事件について考えていたせいで一睡もできなかった古城は、重い眼をこすりながら、雪菜と共に、絃神島北区の駅でモノレールを降りた。
《魔族特区》絃神島は、魔術や製薬、錬金術、普通の科学
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