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駄目親父としっかり娘の珍道中
第57話 お話の黒幕ってのは大概冒頭で死んだ奴だったりする
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お袋さんだったのか。まだ若ぇのに相当苦労してたんだなぁお前さん」
「私一人だったら、今頃悲しみで心が押し潰されてたかも知れない。でも、大切な友達が私の心を支えてくれたんだ」

 そう言い、フェイトは振り返る。後ろに居るであろう自分の運命を変えてくれた大事な友達の姿を。

「ふんぬおぉぉぉぉ! 出ろ出ろ出ろぉぉぉぉ! さっきみたいなビームが出ろぉぉぉぉ!」

 悲壮感漂う話をしている工房の外では、ひたすらなのはが両手を突き出して念じるかの様に唸っていた。
 どうやら先の様に両手から閃光を出そうとしているのだろうが、一向に出ない。
 はっきり言ってその光景は余りにも滑稽に映っていた。

「な、なのは……」
「あぁ、あいつ将来嫁の貰い手大丈夫なのかよ」

 余りに場違いな事をしているなのはに呆れ果てるフェイトと顔を手で覆い項垂れる銀時。二人がそんな風になる程までに今のなのはは余りにも場違いな事をしていたのだ。

「ま、こんな大それた事をしでかしたんだ。ハイエナが集るのに時間は掛からねぇさ……ん?」

 ふと、先ほどのテレビにまた別の映像が映し出された。それは何処かのラボのようだった。そして、其処に映っていたのは血溜りの上に倒れる林流山博士と、それを見つめる例の恰幅の良い男だった。

「こ、これは一体!」
「どうやら、流山が殺された時の映像だろう」
「って、何でそれが?」

 疑問が尽きないながらも一同は映像に釘付けになった。ふと、男がこちらを振り返る。
 ギョッとした表情でこちらを見て驚いていた。

【き、貴様! 零號。何故此処に居る? えぇい、誰か、誰か居ないか! 零號が暴走しているぞぉ!】

 大声で喚き散らしながら男は逃げ去ってしまった。あの野郎、てめぇで林博士を殺しておきながら濡れ衣着せてたって訳かよ。
 舌打ちする銀時。だが、その刹那だった。
 死んだ筈の林博士が突如起き上がりだしたのだ。

「なっ!」

 誰もが驚いていた。そんな中、映像は続いていく。

【な、何をしているんだ……芙蓉……早く逃げるんだ……後で向かえに行くから……だから……】

 徐々に近づきながら弱弱しく声を挙げる。その直後だった。突如として林博士の体を稲妻が走り、彼の体を変質させて行った。
 次の瞬間には其処に林博士の姿はなく。変わりに伍丸弐號の姿が其処にあった。

【今は逃げろ!】

 その光景は余りにも衝撃的だった。それを見せられた一同には話す言葉は一言もなかったのだ。

「流山は、生きている。あの伍丸弐號の中に……そして、奴は芙蓉プロジェクトを完成させようとしているんだ」
「そ、それじゃ……横取りした奉行所の人達は?」
「恐らくは、もう……」




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