第57話 お話の黒幕ってのは大概冒頭で死んだ奴だったりする
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てしまった。まだ幼い少女にその手の話はきつかったのだろう。
「ま、元々病弱な身だったらしくてな。どの道長くなかったのさ。そして実験の負荷が祟ってそのまま逝っちまったのさ」
「じいさん、その娘の名前は?」
「……芙蓉だ」
芙蓉。その名を聞き、脳裏に電撃が走る思いがした。例のからくり家政婦達のプロジェクト名は確か【芙蓉】。そして、死んだ林博士の娘もまた芙蓉。
何故、プロジェクトに自分の娘の名前が入っているのか?
「お前等が持ってきたからくりの中にはなぁ、種子と呼ばれる人格データが組み込まれていたのさ。言うなればその芙蓉の人格データだ。流山の奴ぁ芙蓉の人格データをコピーして、それをからくりに移植させようと考えたのさ」
「まさか、林博士の目的って……死んだ芙蓉さんを―――」
「察しが良いな、嬢ちゃん。その通りだ、流山の目的はただ一つ、死んだ芙蓉を蘇らせる事だったのさ」
今回の事件の大きな糸口が見えた。芙蓉プロジェクトの真の目的は林博士の一人娘でもある芙蓉の人格データをコピーし、新たに蘇らせる事だったのだ。
「そうかい、どっかで見た話だと思ったが、そう言う事かよ」
「なんだ銀の字。おめぇ心当たりでもあるのか?」
「まぁな、前にも同じような事をしようとした女を知ってるだけさ」
銀時が淡々と語る。彼が言う女。それは紛れも無い、プレシア・テスタロッサの事だ。
彼女もまた、幼くして死なせたアリシアを蘇らせようとプロジェクトFATEに手を染めた。だが、結果は失敗に終わり、生まれたのはフェイトだった。プレシアは尚も諦められずに幾多の研究を重ね、遂にはロストロギアとも呼ばれるジュエルシードに手を伸ばした。
だが、結局彼女の望みは叶う事はなかった。
「ま、人が人を作るなんざぁ正しく神の領域だ。そんな事に手を出そうとする奴ぁ決まって禄な死に方などせんじゃろうて」
「そうでもないぜ。確かにその女は禄でもない女だったけど、死ぬ時は安らかに逝ったぜ」
「そうか、死ぬ時に笑って逝けたらそりゃ良い人生だっただろうよ。俺も死ぬ時ぁ笑って死にたいねぇ」
「全くだ」
ふと、銀時は横目でフェイトを見た。フェイトは黙り込んでいた。
思い出していたのだ。厳しかった母の仕打ち。その母が狂って行く様。そして、安らかに死んで行く母の最期の笑顔。
それら全てが彼女の中で何度も何度も映し出されていたのだ。
「フェイト……」
「大丈夫だよ、アルフ。母さんはお姉ちゃんに会えて凄く嬉しかったと思う。それに、きっと二人共空の上で私達を見守ってくれてるんだと思うよ」
じっと天井を見つめながらフェイトは言う。それを聞いていた源外が頭を掻き毟りながら申し訳なさそうな顔をしていた。
「そうかい、その女ってなぁお前さんの
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