第二章、その1:門出
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だよ!!おっとぉ、やべやべ、指揮官来たぜ!」
二人の視線の先、村の中央からのっしりと指揮官が歩いてくる。兵達の行動を見遣りながら激を飛ばす様は、正に指揮官たる威風を堂々と見せ付けるものであった。
「兵士諸君、間も無く出立の時間だ!それぞれ最終準備を怠るな!それとミシェル、パック!私が来るなり準備し始めるな!もっと早くからして置けばよいだろうに!」
「うわっ、朝っぱらから説教節だよ...何処の母様だっていうんだよ」
「全く、俺の母ちゃんでもあそこまでガミガミ言わないぜ?あれ将来絶対に禿るわ。俺の父ちゃんがそれを証明してる」
「聞いているのかっ!さっさと準備しろ!!」
『いっ、イエッサー!!!』
駄弁っていた二人はいそいそと背嚢を背負い、慌しく部隊の方へと駆けて行った。口元に『またやっちまったぜ』とばかりに浮かべられた、不敵な笑みを携えて。
一方で慧卓といえば、村長の邸宅にて出立を見送ってくれる村長夫妻に頭を垂れて、慇懃に礼を述べていた。歳は四十を越えていないであろう若く逞しい村長と、恰幅の良い奥方は晴れ晴れとした笑みを浮かべて慧卓を見詰めていた。
「宴の御飯と朝食、ご馳走様でした!本当に美味しかったです!」
「いいさいいさ!上手い飯しかこの村には取り柄が無いからな!尤もっ、昨日でそれともお別れだったしな!」
「全くだよ。あんたたちのお陰で、村にまた一つ面白い話種が出来たよ。ありがとさん、若い異界の人」
「はっ、ははは...もう俺が異界の人間だって広まってるし」
「まぁ狭い村だしなっ、噂は結構早く広まるもんだぜ!兄ちゃんのっ、大活躍もその一つよ!ははははっ!」
軽やかにばんばんと肩を叩かれる慧卓。苦笑をはららと浮かべていると、彼の服、王国兵より借りた服、をぐいぐいと小さく引っ張られる。彼の後ろには、村の小さな子供達が輪を成して彼の顔を懇願するように見詰めていた。
「兄ちゃん、もう行くの?」
「そうだよ、もっと留まっていっていいんだよ?」
「もっと色んなお話聞きたいー!」
「そうだよー!ヤマンバのお話の続き聞きたいー!」
きらきらと輝く期待の光に慧卓は罪悪感を覚える。暇だとばかりに子供達に捏造脚色なんでもありの御伽噺を聞かせるものではなかったと後悔しつつ、彼らに視線を合わせるように腰を下ろして優しく話しかけた。
「悪いな。俺も色々と面白い話をしてやりたいんだが、それをやってるとあの女性の騎士さんが色々とガミガミ言ってきてくるからさーーー」
「誰がガミガミだっ、このお調子もん!!」
ガミガミの女性騎士、アリッサが膨れっ面で慧卓を見下ろす。兵達の様子を見てから、ここへと辿り着いたらしい。彼女は村長夫妻に軽く頭を下げて、礼を述べた。
「御主人、女将殿、世話になり申した。そろ
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