暁 〜小説投稿サイト〜
少年と女神の物語
第六十四話
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 だが、今はそんなことはどうでもいい。一秒でも早く、力が欲しい!

――――ならば、この力を掌握して見せよ。
 ああ。貰うぞ―――その力!

 俺は意識の中でオランダ人に手を伸ばし・・・その中にある、木の葉と煙の紋章を、掴み取った。



◇◆◇◆◇



 意識がこっちに戻ったか・・・でも、凄く落ち着いてる。
 俺がどんな権能を手に入れたのか、正直表面しか理解できてない。それでも、この状況から簡単に抜け出せるのだけは分かる。
 まあ、なんにしても・・・まず、林姉をどうするか、だよな・・・このまま権能使ったら、俺の代わりに林姉が巻き込まれかねない。そうなったら、間違いなく林姉が死ぬ。
 かといって、腕とかをタップすることも声をかけることも出来ないわけで・・・これしかないか・・・

 俺は、林姉の口の中に俺の舌をねじ込んだ。

「?!‘*#$%$“#”?*!!?」

 わっかりやすい反応をして、林姉は俺から離れる。
 顔も真っ赤だな・・・今回ばかりは、結構罪悪感が。

 そんな事を考えながら、俺は林姉に対して頷いた。
 大丈夫、後は何とかするから、という意味を込めて。

 それがちゃんと通じたのかは知らないけど、林姉はそのまま少し離れて、距離を置いてくれた。
 よし、あとは・・・俺は締め付けられている中で全力で動き、体は背中側に、手はそれと反対向きに動かして空間を作り・・・ポン、とはらづずみを打つ。

 その瞬間にドロンッと音を立てて・・・俺は小魚になった。
 なので、俺は締め付けられる前に全力で泳いで逃げ出し、林姉のそばで再びもとの姿に戻る。

 すぐ横で林姉が驚いた顔をしているが、それを無視して脇に抱え、全力で泳ぐ。
 後ろから何かでかいのが追って来てるのだけは分かったから、水中で素早く動く自分、を想像しながら再びお腹を叩き、一気に加速する。
 そのまま水面に出るのと同時に、言霊を唱える。

「我は緑の守護者。緑の監視者である。我が意に従い、その命に変化をもたらせ!」

 海底に生えていた海草、あれだって植物の一種だから豊穣王(フェータイルキング)で操ることが出来る。
 それをまとめて操って、即席の足場を作成。林姉をそこに寝かせる。

「ムー君、これは・・・?」
「海草のベッド。寝心地の方は保障しないけど、それでも安全地帯であることは保障するよ」

 そう言いながら林姉の頭をなで、言霊を唱える。

「この世の全ては我が玩具。現世の全ては我が意の中にある。その姿、その存在を我が意に従い、変幻せよ!」

 言霊を唱えて、俺は先ほど掌握した権能の半分を発動。
 そのまま海草のベッドに手を向けて、

「汝は不動要塞。何があろうとも、汝に及ぶ被害は存在し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ