高校2年
第二十一話 ラッキー
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第二十一話
カーン!
「おしっ!」
鋭いゴロが飛ぶが、サード飾磨が腰を落としてしっかりと捕球。ファーストの林へ糸を引くような送球を送ってスリーアウト。6回の表が終わる。
結局、江藤のツーランの後は四球を一つ出しただけで凌ぐ事ができた。ホームランになって、かえって流れが切れた感があったのは三龍サイドにとっては幸運だったかもしれない。
(明らかに凡退の質が変わってきた。ストレートにそれほど振り負けなくなってきたし、高めの際どい球に手を出さなくなってきた。)
ベンチに戻りながら宮園は海洋打線の変化を感じとる。この回一挙3点を失い、点差は2点にまで詰まった。少なくとも、5回までとは凡退のパターンが変わってきている。
このままでは、攻略されるのは近い。
(このまま終わるたぁ思ってなかったけど…追加点が欲しい)
しかし、そういう宮園の思いを打ち砕くかのように、海洋のマウンドを守る2番手の城ヶ島は調子を上げていく。
「ストライクアウトォ!」
「よっしゃァー!」
4番から始まる三龍打線の攻撃をあっさりと三人で退ける。点をもらった次の守りで、チームを勢いに乗せようという思いがそのまま体現されたかのような会心のピッチング。
最後は宮園を外角一杯の137キロで見逃し三振にとり、声を上げながら海洋ベンチに戻っていく。
(チッ…これが2番手のピッチングかよ)
手を出す事もままならなかった宮園は顔をしかめた。結局初回以降、追加点の糸口すら掴めない。
(…怪しくなってきたぞこれは)
悪い流れを肌で感じつつ、7回の守りに就いた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
7回表の海洋打線の攻撃は9番から。
カコッ!
キン!
9番打者とはいえ、鷹合のストレートにも十分ついていく。際どい球はファールを打ち続けて、簡単には空振りしない。
「ボール!フォアボール!」
「よっしゃァー!」
そういう打撃をされると、そもそもコントロールが悪い鷹合としては苦しい。
10球を投じたあげくに、打者としては非力なはずの9番を歩かせてしまった。
<1番サード末広君>
打順は1番に還る。海洋の主将、ゴツい体の攻撃的1番打者・末広が右打席に向かう。
(…マジか)
末広は今日3タコで全くいい所がない。
そんな末広に高地監督が出したサインは送りバントだった。
(川道に任せるって事かい。くそっ、面白くねぇな)
末広はバットを横に倒して構える。
鷹合は、今度は1球牽制を挟んでから初球を投げ込んだ。ボールはスッポ抜けて、内角高めに飛んでくる。
「うぉっ!!」
コツン!
末広がのけぞって倒れるが、たまたまバットにボールが当たり、ボテボテとピッチ
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