3話 『カオス神殿』
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れ以上に思いがけなかったのはマゥスンの行動だった。
何事にも冷然と構えていた彼が、止めを刺されそうだったランクを漆黒のナイト・ガーランドの一撃から庇いに出た行為─────
あの一撃を受け止めに入るより、庇いに出た方が速かったのか。
その結果、自ら傷付く事をいとわなかったというのか。
本人にしか判らない思考に基づく事であるにしても、白魔道士のシファにとって"一国最強のナイト"を相手に誰も死なずに済んだ事に安堵はしたが、気掛かりなのはさっきの"現象"と赤魔道士の彼が受けたであろう傷の事。
(でもそれは自分で治したっていうし……、大丈夫だよね)
身体の痛みも白魔法で幾分引いたシーフのランクも立ち上がり、次にシファは暗がりに見紛うように立ち尽くしている黒魔道士、ビルの元に近寄る。
……だいぶ放心しているらしく、シファが傍に来ても気付いた様子なくとんがり帽子の中の二つの黄色く丸い眼だけが煌々としている。
「ビル? もう、終わったみたいだよ。あの黒い騎士の人、消えちゃったっていうか、いなくなったみたいだし……… 」
「 ────ふぇ? シファ、さん………??」
声を掛けられようやく我に返ったビルは、急に力が抜けてその場にへたり込む。
「す、すみませんでス、ボク……! 大したこと出来なくて……っ」
自責にかられているビルを、宥めるように白魔法を掛けるシファ。
(みんなの気持ち、やっぱりバラバラみたい。会って間もないから……? でもわたし達、気付いたら一緒にいたんだし、会ったばかりのはず、ないんだけどな……。それにさっきの光、わたし達いったい何を ───── )
記憶の断片を探し当てようにも、シファの思考はすぐ別方向に向いてしまう。
「あ、そういえば王女さまは……!?」
ナイト・ガーランド相手に緊迫した中ですっかり忘れていた本来の目的。
────コーネリア城前で兵士長に呼び止められて何人かと手合わせさせられ、最終的にマゥスンが兵士長を負かしその行きがかりで国王に会わされ、カオス神殿に浚われた王女を救うよう頼まれたのだ。
中央祭壇に乗り込んだ際に王女は確か、禍々しい球体の[黒水晶]が祀られた祭壇前に倒れていたはず。
そこには既に赤魔道士マゥスンが跪いており、誰かを抱き起こしているらしくシファもそこへ行くのと同じくして、ランクとビルも何とか気を取り直し歩み寄る。
「 ………おい、死んでンのか?」
「そ、そんなぁ、間に合わなかったって事でスか……!?」
「ちょっとランク、ビル、早まらないで? マゥスン、王女さまは──── 」
片膝を付いて王女を抱き上げた姿勢のままの彼に問うシファ。
「 ………気を失って
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