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王道を走れば:幻想にて
第一章、その5:門の正しい壊し方
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。まるで枝垂桜を模した花火ようだ。だからであろう、この言葉を零してしまうのは。

「かーぎやー...」

 その言葉の瞬間、空を舞っていた一際大きな木屑が彼の元へと飛来する。木屑は弧を描くように回転しながら、慧卓の瞳の数寸先へと突き刺さる。まるで慧卓に抗議するかのように木屑ががたがたと震え、幾多の鋭利な尖りを強調している。

「た、たーまやー」

 贔屓はいけないなと、慧卓は真理を胸中に抱いた。
 一方で突然眼前に聳えていた門が消失したのを目の当たりにした兵士達は、暫くの間瞠目を湛えて現状を理解できないでいたが、叱咤するように駆け巡る指揮官の声に意気を取り戻す。

『門が破壊された!!全軍、一気果敢に攻めたてよ!山賊の砦を制圧しろぉ!!!』
『大お大オオおおおおおっっっっ!!!!!!!!』

 咆哮が大地に鳴り響き、そして轟くような足音と震動が大地を震わす。最早大盾に身を隠さずとも良い。兵士達は剣に槍に斧を手に取り、一気果敢に砦の中へと雪崩れ込んでいく。山賊達が慌てふためき、剣を手にとってこれを防ごうと門へ集結していく。人の波と波が正面からぶつかり、剣戟の音と怒号が重なり、地を奮わせ始める。
 其の時、砦の内側より喧騒が伝わってくるのを耳にする。視線を其処へ向けた直後、一階部分の扉が吹き飛ばされるような勢いで開き、中から熊美が、ついでアリッサが広場へと入ってきた。無事に脱獄できた事を悟ると、慧卓は安堵で胸を撫で下ろす。
 アリッサは広場の中に視線を巡らせて、とある者を見遣るとまっしぐらに其処へ向けて駆けて行く。走駆を妨げようと剣を振り上げた賊の腕を二つに裂き、別の賊の足を斬り捨てる。呻き声と血潮を漏らして地面に倒れ込む男達、それを兵士らの得物が止めをさせていく。アリッサは広場の中を、剣戟の嵐の中を只管に駆け抜けて行き、門の外まで辿り着く。其処に彼女は己が主、コーデリア王女の姿を見遣った。彼女は脱出時に纏っていたローブ姿ではなく、凛々しく華々しく整えられた純白の軽装の鎧をして馬に騎乗しており、王国兵の指揮官と馬を並べていた。アリッサは急いで彼女らに駆け寄ると、コーデリアが声を掛けてきた。

「アリッサ、無事ですか!?」
「コーデリア様、何故このような危ない場所に!!」
「私とて王家の娘、貴族の一人です!戦の前線に身を置いて指揮をするのは当然ではありませんか!それに、貴方が何時まで経っても現れないから此処まで来たんですよ!少しは反省しなさい!」
「も、申し訳ありません!!...しかしだからといって、敵の弓兵の射程距離内に身を置かないで下さい!危なっかしくてみていられない!今後は慎んでください!」
「えぇ!もし出過ぎてしまったら確りと止めて下さいね!」

 コーデリアの朗らかな笑みを見てアリッサは安堵を抱いていたが、
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