暁 〜小説投稿サイト〜
王道を走れば:幻想にて
第一章、その3:オカマっていうな
[8/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のパーツが集中した、うざさと軽妙さが混ざり合う容貌であった。

(違ったか)

 慧卓は視線を逸らして足早に西通りを歩いていく。

「おい、今のわけぇの俺見た後目を逸らしたじゃん?あれ内心じゃぁな...俺の余りの華麗さに動揺覚えまくって必死だから」
「すげー、兄貴すげー!!他人の心を勝手に推測出来るとかすげー!!」

 二人組みは奇妙に面白おかしいポーズを決めながら去っていく。
 その後も慧卓は街並みの光に照らされた人々の顔をちらほらと探り、三沢の姿を探していく。しかし道行く者にその姿、ましてや気配一つ感じる事無く、じんわりと慧卓の心の中に焦燥にも似た苛立ちが込み上げてくる。
 そんな時、西通りへと繋がる細道に後ろめたさを隠すように姿を消していく男二人・女一人の三人組を見遣り、そのうちの一人に漸く捜し求めていた者の顔を見出した。 

「三沢、だよな?」

 唐突に舞い降りた一つの手掛かりに、慧卓は飛びつくように足を速めて彼らの姿を追っていく。道行く人々にぶつかりそうになり、不機嫌なリーマンの舌打ちが毀れた。 

「失礼」

 視線を一つに集中した慧卓の謝罪の言葉もおざなりとなってしまう。慧卓は彼らの後を追うように細道に入っていく。
 丁度、商業ビルとビルの間に位置する細道は夜闇に加え、ビルの陰を纏って一層の漆黒を包んでいるかのようであった。足音を響かせないように慎重に、且つ足早に慧卓はその先へと進んでいく。ビル風の冷たさと、ゴミの収集箱から漂う腐臭が鼻を突くが、慧卓の気を削ぐ事は一向に無かった。
 幾つかのビルを横に置いた裏通りを抜けると、丁度繁華街の賑やかさから一つ距離を置いた、閑静な住宅街が現れた。立ち並ぶのは高層マンション、そして高級そうな外観の一軒家。今は静かに街灯が光を放つだけであり、遠くから車の遠鳴りが聞こえるだけであった。
 その街灯の光に照らされて、件の三人組が道の端を歩くのを御条は見つけた。足を速めて電柱の陰に隠れ、彼らの姿を窺っていく。

「ちっ、さっさと歩けよ」
「おい、どつくんじゃねぇぞ。下手に音立てたら民家の奴らが起きちまうからな」
「分かってるよ」

 光を受けて、二人組みの粗野な風貌が明らかに成る。その二人に急かされる様に三沢が歩いている様も見受けられた。何処か虚ろな足取りをしながら彼女の水色のスカートが揺れていた。男の一人が手元で何かを弄りながら話す。

「しかし、ブレインコントローラーさまさまだよな。金が無くても超簡単に女ゲット出来んだからよ」
「ほんとだよな。しかもやられた側は無遊状態っていうの?よくわかんねぇけど、意識がはっきりしてないから、抵抗も無いと」
「ああ。それにそそるよな、こう、意識の無い女をヤるってのもよ」
(こいつら、強姦する気だな!?)

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ