第六話 水と氷その五
[8]前話 [2]次話
「それもないか」
「日本政府がそうする様に思えるかな」
「いや、そう言われるとな」
「ないよね」
「うん、日本政府は野心はないよ」
そういうことには疎いというのだ。
「訳のわからない人達がどう言っているかはともかくとして」
「ないよな、そんなの」
「うん、確信して言えるよ」
「そもそも日本政府もあんな連中作ったら極秘に実験するよな」
「彼等の中でね」
「だよな」
「しかも何故彼等は君達を狙っていて君達の力のことを知っているのか」
このこともだ、智和は指摘した。
「君達の力が目覚める前から」
「ああ、蟷螂の奴急にあたしの前に出て来たからな」
このことからだ、薊も言った。
「そのことも不思議だよな」
「そうだね、そのこともね」
「何か訳がわからなくなってきたな」
「謎が多過ぎてね」
「ああ、連中のことは謎だらけだな」
「しかも手掛かりもないよ」
彼等のことを知る為のそれもだというのだ。
「何処からどう調べるのかもね」
「わからないよな」
「正直今の時点ではね」
どうかというのだ、彼等の現在の状況では。
「彼等について知ることは何も出来ないよ」
「完璧なまでにね」
菖蒲がここでまた言って来た。
「ないわね」
「そう、だから僕もね」
今はというのだ。
「お手上げの状態だよ」
「そうなのですね」
「さて、どうしたものかな」
「今は待つしかありませんね」
菖蒲はここでこう言った。
「この状況では」
「待つんだね」
「はい、何も手掛かりがないのなら」
「動くことも出来ないから」
「待つしかありません」
これが薊の解決案だった。
「待つことも大事だと思いますので」
「待つのかよ、どうもな」
薊は菖蒲の提案を聞いて難しい顔で述べた。
「あたしの性分じゃないな」
「攻める、前に進むことがというのね」
「ああ、あたしの性分なんだよ」
拳法においてもそうだ、薊は常に積極的に前に出て攻めるのだ。だから今の様な状況はどうにもというのである。
「だからな」
「待てないのね」
「何とかして手掛かりを見付けたいんだけれどな」
「けれどね」
「だよな、それでもな」
薊も今の状況はわかっている、それでこう言うのだった。
「今みたいな状況だとな」
「どうしようもないわね」
「ああ、実際のところな」
こう言うのだった。
「待つしかないよな、こんな状況だと」
「怪人達のことは何もわかっていなくて調べようとする手掛かりもないわ」
「本当に全くだよな」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「今は待つことよ」
「動いても仕方ないか」
「むしろ動いてもね」
そうしてもだというのだ、現状は。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ