第六話 水と氷その三
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「死ぬかって思った場面があったよ」
「相手は毒を持っている場合もあるわ」
「やたら鋭い牙とか持っててな」
「命が危険のある相手よ」
まさにだというのだ。
「だからね」
「一人で闘うよりもか」
「二人の方がいいわ」
「その方が死なずに済むよな」
「ええ、それにね」
「それに?」
「彼等には謎が多いわ」
怪人達のことである。
「さっきも言ったけれど何処から出て来るのか、何故私達を襲ってくるのか」
「そういうことも全然わかってねえよな」
「そうしたことを調べることもね」
「一人よりもか」
「いいわ、一人で出来ることは限られているから」
「そうそう、一人よりもさ」
「だからよ。私と貴女はその性質は違えど力を持っている者同士だから」
そして怪人に襲われている、この二つの共通点からだった。
「一緒にいれば何かとお互いに有り難い筈よ」
「じゃああたし達は今からダチか」
「友達ね」
「そうなるだろ、一緒ならね」
「友達は嫌いではないわ」
やはり静かな顔で言う菖蒲だった。
「私も一人は嫌いだから」
「そうか、じゃあこれからダチとして宜しくな」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「握手は遠慮したいわ」
友情を結んだ証であるそれはというのだ。
「私としてはね」
「えっ、何でだよ」
元々薊は握手は考えていなかった、だが拒否を告げられてそれで戸惑いそれで菖蒲に尋ね返したのだった。
「握手駄目なんだよ」
「私の力は水と氷よ」
「冷たいからかよ」
「ええ、普段は調整しているけれど」
「それでもかよ」
「冷た過ぎて凍るわよ」
「あはは、じゃああたしはあんたと握手したらここでカチコチになるんだな」
菖蒲のその言葉を受けてだ、薊は明るく笑って返した。
「そうなんだな」
「そうなりたいかしら」
「かき氷好きだぜ」
薊はこの言葉も笑って答えた。
「それに凍っても中から溶かしてやるさ」
「貴女の炎で」
「だから大丈夫」
「面白いことを言うわね」
こう言ってもだった、菖蒲はにこりとしていない。氷の力を持っていると自分で言うせいか極めてクールな面持ちである。
「氷は怖くないの」
「水もな」
「ならいいわ。けれどね」
「握手はしないんだな」
「また今度にしましょう。照れ臭いわ」
「おいおい、握手が照れ臭いのかよ」
「だから好きじゃないの」
そのクールな表情のままでの言葉だ。
「それはね」
「そうか、嫌いならいいけれどな」
「ええ、けれどね」
「これからはあたしとあんたはダチか」
「そうなるわ。ではね」
「これから宜しくな」
「お互いにね」
握手はなかった、だが菖蒲は薊と共に戦うことを約束した。そのうえで昼に薊は菖蒲に裕香と智和を紹介した。菖蒲は智和を見て
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