第144話
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る。
おかしい、と麻生は思った。
愛穂ならいざ知らず、桔梗が電源を切っているのはおかしいと思った。
愛穂が地下街にして電波が届かないのなら合点がいくのだが、桔梗は愛穂のマンションにいる筈だ。
それなのに電波が届かないのはおかしい。
待機しているので電源を切っていれば連絡のしようがない。
少し考えたが、それほど焦る事でもないだろう。
そう考え、とりあえずマンションに向かう。
帰り道の途中、警備員の姿をよく見かけた。
学生より警備員の方が多いと言うのは珍しい光景だろう。
(またテロでも起こったのか?)
案外シャレにならない事を思いながら足を速める。
何やらピリピリとした、張り詰めた空気も感じ取った。
ここで警備員にいちゃもんつけられては面倒だ。
そう思った時だった。
ゴトリ、と妙な音が聞こえた。
麻生はその音の方に視線を向けると、すぐ近くの歩道で警備員が倒れていた。
うつ伏せに倒れた身体が、路面を濡らす水溜りに浸されていく。
それでも身じろぎ一つなかった。
いかに防水機能があるとしても普通の反応ではない。
この光景を見た麻生は若干眉をひそめる。
(何がどうなっている。)
とりあえず、意識の確認などをするために近づいて行く。
もし、この警備員が愛穂の知り合いなら彼女は悲しむだろう。
しかも、自分が側にいたのに無視してそれが原因になったら目覚めが悪い。
近づこうと思った時だった。
バタリ、と明らかに人が倒れる音が聞こえた。
それも一つではない。
バタリバタリと何度も何度も重なって一つの長い雑音を作り上げた。
周りを見渡すと、近くにいた警備員が全員倒れていた。
「・・・・・」
倒れる原因を何個か考えたが、埒が明かない。
ともかく、一番近い警備員の身体に干渉する。
調べると体内の酸素が極端に減っていた。
人間に限らずほとんどの動物には、生命活動に必要なものが不足すると、それに合わせて体機能のレベルを低下させる防衛本能を持っている。
この警備員は酸素を極端に失ったために仮死状態になっている。
一応、酸素を増やしても目覚める気配がない。
(体内に微弱だが、魔力を感じた。
おそらくこれは魔術。)
そうと決まれば、麻生の能力でかかっている魔術を解く。
しかし、解いた瞬間再び同じ魔術を受け、意識を失った。
(原因となる魔術を破壊しない限り、治療は難しいか。)
辺りの警備員の容体を確かめる。
誰も死にそうな深刻な状態の人はいなかった。
麻生は携帯電話を片手に、愛穂のマンション向かう。
依然と、電話は繋がらない。
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