第6話 地下の先祖
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たという」
「だから、その話が一体――」
「彼はやがて倒されちゃうんだけど、その骸がもし、朱染家のこの地下に眠っているとしたら?」
なにを言っているのか一瞬分からなかった。大陸を火の海に沈めた魔物が、この家の地下にいるだと!? そんな――、
「その話を聞いて私も半信半疑だったけど、これを目にして考えが変わったわ」
階段を下り先に続く長い廊下を歩くと、開けた空間に出た。そして、そこに鎮座するモノを見てしまう。
「じ……じゃあ、これがその――」
そう。真祖アルカード。最古のバンパイアの一人と呼ばれた男のなれの果てよ」
そこにいたのは強大な怪物だった。見上げるような巨体はヒトの身体ではなく、まるで映画に出てくるエイリアンのような身体をしている。
姉さんは振り返ると、嬉しそうに手を広げた。
「見てよモカすごいでしょ! 彼はもう死んでいるけど、死んでもなお際立つこの荘厳さ! 真祖は強さも能力も普通のバンパイアを遥かに凌駕する。私はどんな手を使っても、あらゆる手段を使ってでもこの力を手にしたいの」
「ね、姉さんはこんなものを手にいれて、何がしたいんだ……」
震える唇から紡いだ言葉に姉さんはただ一言こういった。
「――世界」
気が付けば自室にいた。どうやら無意識のうちに部屋に戻っていたようだ。
姉さんがなにを考えて世界などと言ったのかは分からない。そう、分からないんだ。
姉妹なのにまるで姉さんのことが分からなかった。世界を手にして一体何をするのだろうか。
「モカ!」
扉を開け放ってお母さんと美優姉さんがやって来た。その顔は焦燥感に満ちており、普段のお母さんが浮かべている表情とは一線を画している。
「お、お母さん? どうしたんだ、そんな血相を変えて――」
――パン!
ジンジンと熱を帯びる頬。お母さんと姉さんの目から涙が伝うのを見て、初めて叩かれたのだと気が付いた。
あまりの出来事に呆然としているとお母さんが私の両肩を掴み捲し立てる。
横で同じ様に姉さんも立っていた
「見たのね? 地下の… 地下のアレを…」
姉さんがなきながら問いかけてきた
「なんてことをしてくれたのあなたはッ! あれは……あれはッ!!」
お母さんは急に私の肩から手を離すと、戸棚から服を物色し始めた。手当たり次第に鞄に詰めていく。
姉さんは立ちつくしたままだった
「お、お母さん!? どうしたの? どうして急に私の荷物をまとめるの!?」
「見ての通りよモカ」
「あなたには明日一番でこの館を出て行ってもらうわ」
姉さんと母さんが私が出て行くと なんで?
「じ、冗談
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