幼い日の思い出
生まれ、落ちた
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術式を刻み込む。
その分、これから自分の息子たちはたくさんの不幸を、憎悪を背負っていくのだろう。
けれど、大丈夫だ。
金色は、不敵に笑う。
だってこの子たちは、自分と彼女の子供だ。
ミナトはナルトの頬を撫でる。
今日、確信したことが二つあった。
クシナを襲った面の男が、やがてこの世に災いをもたらし。そして、それを止めるのがナルトだと。
自来也が言っていた予言の子はこの子なのだと。
なぜか、そう確信できた。
そして、もうひとりは。
カトナと、もう一度繰り返す。
ナルトには、自来也の小説の主人公のように、決してあきらめず、前を見続ける男のようにほしいという思いを込めた。
対する彼女の名は、ミナトとクシナが相談してつけたものだ。
英雄にはならなくていい。ただせめて、せめて少しだけ。そう願って、考えた。
籠められた思いは、その名前をつけた思いは、きっと、この子に伝わっている。
不思議と、そう思った。
「…っ……」
言いたいことはたくさんあって、でも、もうちゃんと全部告げ終わった。
本当はもっとずっと見ていたかったけれど、名残惜しいけれど。
それでも、もう、時間がないから。
ミナトは目を伏せた。
「八卦、封印」
術式が完成する。
瞬間、英雄ふたりの腹を貫いている尾に異変が起きた。
まるで蜃気楼のようにそれが揺らいでいく。
「おのれぇええええええ!!!」
九尾の妖狐が恨み言を発しながらも透けていき。そして、完全に姿を消した。
狐の、最後の絶叫が木霊する。
奇怪な叫び声に、カトナは顔をしかめた。
それとは対照的に、安らいだ顔をした英雄は、ずるりとその場に崩れ落ちる。彼女もまた、それに引きずられるように倒れこんだ。
崩れ落ちた二人の体から、勢いよくカトナの体に血が降りかかる。
真っ赤なそれが視界を潰していく。
びくっと身をすくませた赤子は何度も瞬きすると、体を動かす。
ぐずっているようにじたばたと手足を動かして、なんとか寝返りを打とうとする。
しかし、まだ生まれたばかりの彼女の手足は、彼女が思う以上に自由には動かない。
やがて、力尽きた赤子は体を動かすことをやめて。その代わりに、目を動かす。
何かを探すように、うろうろと赤い眼を揺らして。そうして、自分のそばに居る金色の赤子をとらえる。
カトナはぱくぱくと、また口を開いては閉じてを繰り返していたが、最後に、ゆっくりと手に力を込めた。
そして、それから八年後。
森の中に、一人の少女が立ち、一人の少年が座っていた。
金色の、太陽のごとく光り輝く髪の毛を持った少年は、海よりも静かで穏やかな青い瞳を限
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