新品ノートと国語辞書
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俺は国語辞書。
昨日、長いこと一緒にいた国語ノートに寿命がきた。
あいつは今までで一番相性があったやつだと思っている。
きっと俺はあいつのことは忘れないだろう。
先日のやつは半分国語に使われ、もう半分は理科としてつかわれた。
次はどんなやつが来るのか・・・
興味ないが・・・
国語の時間。
はぁ、さてどんなやつがくるのかな・・・ちょっといじってやろうかな
「はじめまして!新しく国語ノートになりました!新品ノートです!」
いきない耳元からバカデカイ声で自己紹介が聞こえ、俺はびくりと肩を揺らした。
「お、おぅ、よろしくな・・・」
「あ!はい!よろしくお願いします!」
俺が口を利いてやるとこいつはうれしそうに表情を明るくさせた。
なんだか犬みたいだ。俺はふいにあいつを思い出した・・・。あいつもこいつのように俺が口を利いてやると表情を明るくさせて俺にいろんなことをきいてきた。楽しかったころの記憶を思い出しもうあの頃にはもどれないと分かると、胸がチクリと痛んだ。
もう思い出すのはやめよう・・・。
それでもやっぱり楽しかったあの頃の記憶は消えない。
「・・・ん!こ・・じ・・さん!国語辞書さん!」
「っ!あ、あぁ、すまない、どうした?」
「えっとですね〜これがわかりませ〜ん!」
「ん?あぁこれか?これはな、(説明入りま〜す)だ」
「ほおほお!ありがとうございます!」
いじってやろうかとおもっていたのに、こいつを見てるとあいつを思い出していじろうにもいじれない・・・
「はぁ・・・」
「どうかしましたか?あ!国語辞書さん!」
「ん?」
「考えるってどういう意味なんですか?」
「・・・お前、それ本気で聞いてるのか?」
「?・・・はい!そうですよ?」
「会話で使わないのか・・・?はぁ、考えるっていうのは・・・(説明中)ということだ」
「ありがとうございます!聞いてて思い出しました!!」
「おい・・・」
おもわず苦笑いしてしまう。
「国語辞書さん!最後にいいですか?」
「おう」
「____国語辞書さんの大切な人は、誰ですか?」
新品ノートは微笑んだ。
あいつと同じ笑顔で。
『国語辞書!俺はずっとお前といるよ!』
「嘘つき・・・」
いつかあいつが言ってくれた言葉を思い出し俺は初めて涙を流した。
「俺の大切な人か?それは__________」
新品ノートは泣きながら微笑んだ。そしてひとこと
「ありがとう」
こいつはリサイクルにだされ、生まれ変わったあいつだった。
俺達はもうしばらく一緒にいられることになった。
また幸せな日々
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