一番から九番の選手がそれぞれの役割を果たすことで、打線は初めて『線』となるのです!
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いよお!」
「何か新しい抗争まで始まっちゃった! ううう……誰か助けてえええええ!」
部室内の話題が単純な野球の話からそれぞれの贔屓球団や今シーズンの展望に及びかけた頃、それまで黙っていた真姫が不機嫌そうな表情でばんと机を叩いた。
「ああもう、いい加減にしなさいよ! μsの今後の目標を決めるんでしょ!」
真姫の一喝に、凜とDH制のあり方について議論していたにこは、我に返ったようにこほんと一つ咳払いをする。
「そ、そうだったわね。じゃあ、真姫の案を聞かせてもらおうかしら」
「ええっ!? わ、私?」
おろおろと周囲を見渡すと、それまで全く関係のない話に興じていたメンバーがみな真姫に注目を集めている。今更、何も考えていませんでした、と言える雰囲気ではなかった。
「そ、そうね……あ、そうだ。スクールアイドルのランキング一位を目指すのはどうかしら?」
アクシデントで『ラブライブ』への出場は叶わなかったものの、アイドルとしての人気の指標であるランキングの頂点を目指せば、自ずと似たような大会に参加できるかもしれない。この話し合いの中で初めて出した目標らしい目標に、真姫は全員からの高い評価を確信した。
「あ、あれ……?」
しかし、誰も真姫の提案に賛辞をあげることはない。それどころか、困ったような表情で互いに目配せをし始める始末である。
真姫が彼女らの反応に戸惑っていると、希が重い口を開いた。
「……普通、やね」
それを皮切りに他のメンバーも感想を漏らす。
「普通ですね」
「普通だにゃあ」
「ふ、普通……かな?」
「普通だよねえ」
「普通だよー」
「そうね……ちょっとありきたりかもしれないわね」
「はあ……今日はもうお開きにしましょう。これ以上やってもいい案は出ないでしょうし」
そして、自らの予想とは真逆の反応に固まる真姫を余所に、全員が帰り支度を始める。
「じゃあ、最後の人は鍵よろしくね」
真姫以外の全員が部室を出た後、にこは彼女にそう言い残して扉を閉めた。
「私は間違ってない……間違ってなんかないんだからああああああああああっ!」
誰もいなくなってしまったアイドル研究部の部室の中、真姫の声だけが虚しく木霊していた。
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