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東方魔法録〜Witches fell in love with him.
14 交錯〜Fate play cruel trick sometimes.
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もう少しと言うところでシルクハットに黒のスーツを着た、以前海に行ったときにいたマジシャンと緑のチャイナ服みたいな服と緑色で星の飾りがある帽子を被った見知らぬ赤毛の女性が私達の目の前に立ち塞がった。
「久し振りだね。大体五年ぶりかな?」
「なんであんたみたいな魔力をもたないやつがここに…!」
明希はあの時何かあったようでマジシャンの方を睨んでる。
「ね、ねえ…あの人達誰…?」
あの時、大食い大会に出ていたエリーとレイレウは知らなくて当然ね。
「男は海に行ったときにいたのよ。そこにいる中国人っぽいやつは知らないわ」
「ふーん。チャイニーズは妖力を持ってるね。でも…」「あいつからは魔力どころか霊力も妖力も神力も感じられないぜ?」
「ふ、普通の人間…?」
そう。何にも力を持ってないただの人間が何故ここに…。
「ふふふ。それは私がマジシャンだからだよ。魔法を使ったのさ」
「お前の場合は種があるだろ。で、本当のことは?」
「ふむ…まあ、いいだろう。種は簡単だよ。それは私が魔力がない魔法使いなのだ」
「それ、答えになってないわ」
「まあ、よく聞け」
この手品師が言うには自分の親は魔法使いで自分も魔法使いであるそうだ。なのにこいつは魔力を一切持っていない。それはこいつが特殊体質で驚くべきことに魔力を消す体質らしく、自分の魔力を常に消しているかららしい。
「私はこの体質を治したいのさ。そのためには大量の魔力が必要だった」
「まさか…!お前が…!」
「明希君。君はやはり頭が回るね、羨ましいよ。…そう。私がマロウ家の当主、マロウだ」
目の前にいるこの男、マロウこそが犯罪組織マロウ家のリーダーですって!?
なるほど…魔法使いを狩ったり子供を誘拐していたのは建前の秩序ある魔法世界のためじゃなくて、この男の体質改善のためってことね…。騙されている手下達が可愛そうだわ。
「じゃあこの騒ぎも…!」
「そうだ。私が起こした。この街ごと生け贄に捧げるために」
「……!そんなことしたら今この街にいる人たちはどうなるんだ!!」
「街にあるもの全てを魔力に変換するんだ。勿論死ぬさ。」
なんてことを…!手下もまるごと自分の生け贄にする気!?
「狂ってやがる!(このままじゃパチュリーまで生け贄に…!こいつを倒すか最低でもこの場から逃げ出すかはしないと!)」
明希は真剣な顔つきでマロウに向かって魔法を放つ。
「九紫火星は火を司る…太陽黒点!」
魔法を詠唱し、黒い球状の炎を発射した。太陽でおこる現象を模した炎は骨すら焼き尽くすような高火力でマロウに襲いかかる。が…
「嘘でしょ…?」
明希の魔法は悠々と立っているマロウの皮膚を焦がすどころか急に熱を失い霧散してしまった。
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