6 「Siren」
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く死んだか遅く死んだかの差でしかない。ほんの、数時間差の。
ひとしきり自分への悪態をついたあと考えるのは、負傷と疲労を纏うこの身で如何にして挟み撃ちを抜け切るか。
(―――デュラク、今ほどお前が居てくれたらと思うことはないよッ)
ヒュッ...ダダダダダッ!!
ギッ! ...ギュウウウ......
無いものねだりに答えたのは、不意に横から飛んできた十本近い数の投げナイフだった。方面は、エリア1―――ベースキャンプの方から。
驚きの声を禁じ得ない凪。突如現れた新たな敵を警戒した後方のギギネブラにも同じく、大量のナイフが見舞われた。
「おいおい。大口叩いといてそのザマか、クソガキ?」
理解が追い付かず、突然眠りだした毒怪竜たちをただ茫然と眺める。いや、分かってはいるのだ。竜の背に過剰なほど剣山のように刺さっているのは、対竜用にあつらえた睡眠薬を塗りつけた『眠り投げナイフ』。そして今、そんなことができるのは、
「にいちゃ! 来たよ、みーたち!!」
「助けに来ました、兄さん!!」
「遅いから迎えに来てやったんだ。感謝しろ」
「……やれやれ。馬鹿な家族を持ったな、俺は。まったく……心強いったら」
愛すべき馬鹿たちだけだ。
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