第十二話 ベーネミュンデ侯爵夫人(その6)
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て風当たりが強くなる」
言葉が無かった。確かにブラウンシュバイク公の言う通りではある。今までは俺達を受け入れようとする人間はほとんどいなかった。しかし今は違う、ブラウンシュバイク公は俺達を積極的に受け入れようとしている。キルヒアイスもその能力を周囲に知らせておくべきかもしれない。幸いブラウンシュバイク公はこちらに好意的だ、ここでなら悪いようにはならないだろう……。
「キルヒアイス、せっかくの御好意だ。有難くお受けしよう」
「承知しました」
応接室に通されると既に先客がいた。ブラウンシュバイク大公、リッテンハイム侯、リヒテンラーデ侯、どうやら若輩者の俺が最後らしい。一言言わねばならんだろう。
「遅くなりました、申し訳ありません」
俺の言葉に皆が無表情に頷く。それを見てから空いている席に着いた。席について改めて思った。皆、必ずしも俺に好意的ではない。その俺が何故ここに呼ばれたのかと……。やはりブラウンシュバイク公の好意だろう、どう見ても場違いだ。
ドアが開いて若い女性が入ってきた。おそらく使用人だろう、コーヒーを持ってきた様だ。俺の所に来ると一礼してコーヒーを置いた。至れり尽くせりだ、自然とこちらも頭を下げていた。どうも調子が出ない。これまで不当に扱われる事は有ってもここまで丁重に扱われた事は無い。悪い気持はしないのだが困惑してばかりだ。
「どうやら皆揃ったようだ。そろそろ始めてはどうかな、リヒテンラーデ侯」
女性が出て行くのを見届けてからブラウンシュバイク大公が口を開いた。リヒテンラーデ侯が“うむ”と頷く。俺達を見渡しながら口を開いた。
「ベーネミュンデ侯爵夫人、コルプト子爵の一件じゃが捜査はほぼ終了した。この一件のおおよその経緯と今後の事を関係者である卿らに話しておきたい」
低くしわがれた声だ。皆が頷いた。
「事の始まりは侯爵夫人が陛下の寵を失った事だ。侯爵夫人は当然だが新しい寵姫であるグリューネワルト伯爵夫人を憎んだ。そして失脚させたいと望んだ」
俺に刺客を送ったのも侯爵夫人だ。姉上だけではなく俺までも狙った。その所為で死にかけたこともある。おそらくは俺を殺す事で姉上を苦しめる事が目的だろう。
「コルプト子爵は弟をミッターマイヤー少将に殺された。その件はブラウンシュバイク大公により軍規を正したと判断され不問にされたが子爵はそれが我慢ならなかった。復讐したいと思ったのだがミッターマイヤー少将はミューゼル大将に庇護されていた。彼にとってはミューゼル大将が邪魔だった」
「それでコルプト子爵はベーネミュンデ侯爵夫人を利用する事を考えたか……」
リッテンハイム侯が呟くように言葉を出す。
「その通り。グリューネワルト伯爵夫人に陛下以外の男を近づけ姦通罪にて処断させようとベーネミュンデ侯爵夫人の耳元で囁いたの
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