オーバーロード編/再
第42話 ドライバーで満たせないモノ
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「――咲ちゃん、ひょっと腹減ってる?」
「……レッスン終わってなんも食べずに来たから」
咲はもじもじと俯いた。
紘汰はリュックサックから、こういう時のためにと持ってきたおにぎりを出し、咲に差し出した。
「食べる?」
「いいのっ? でも、これ、紘汰くんのなんじゃ」
「平気平気。いざとなりゃこいつもあるし」
紘汰は戦極ドライバーを握った。咲は首を傾げた。そういえば、ドライバーを着けていれば食事が要らないことを戦極凌馬から聞いた時、咲はその場にいなかったのだった。
紘汰はそのことを教え、改めておにぎりを咲に手渡した。
咲は悩ましげな表情を見せたが、ラップを剥いておにぎりにかぶりついた。
「んぐ、んぐ――でもね、紘汰くん」
「ん?」
「おなかすかなくても、あたしはこっちがいいな。おいしいし、ごはん食べたーって感じがするもん」
「――そうだな。お茶、飲む?」
「飲む〜」
自分で握った不格好なおにぎりを頬張る咲。紘汰は和やかな気持ちになりながら水筒を取り出した。
咲のささやかな食事が終わってから、紘汰と咲は再び歩き始めた。
歩き続けて出たのは、干し草を敷き詰めた原っぱのような場所だった。
咲がほやあっと見回していると、紘汰が唐突に咲の肩を掴んで姿勢を低くさせた。紘汰は真剣な目で遠くを見ている。咲も同じ方角を見た。
「……あ?」
「ねえ、あれって――」
疲れたような足取りで現れたのは、まさかの、凰蓮・ピエール・アルフォンゾだった。
「も〜、何なのよこの森〜。出口はどこ行っちゃったのよ〜」
凰蓮は手近な木の根元に倒れるように座り込んだ。
「出てってもダイジョウブじゃない?」
「だな。何でいるのかも気になるし、声かけてみるか」
紘汰は立ち上がり、枯れた草を掻き分けながら進んだ。咲は後ろから付いて来た。
「ああ! アナタ、水瓶座のボーヤ!」
「やっぱシャルモンのおっさんか。あんた、どうやってこの森に来たんだ?」
「う、うるさいわね! 大きなお世話よ」
「あ〜。もしかして、クラックから入って、帰れなくなったとか」
「バカおっしゃい! ワテクシがそんなお間抜けに見えて!?」
いや見えるから言ったんだけど、というツッコミを咲も紘汰も控えた。凰蓮は本気で空腹のようで、その場に頽れたからだ。
咲はちらり、と紘汰を見上げた。紘汰は肩をすくめた。
紘汰はリュックサックから余ったラッピングおにぎりを出して凰蓮に差し出した。
「こ、これは…! 白くて麗しの、お、お…」
「やるよ」
「そ、それは何!? ワテクシに新たな契約を結べってこと!?」
「何だよそれ」
「ワテクシのような一流の傭兵を、そ
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