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ゴミの合法投棄場。
魔王様の諦め癖。
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? それはどのようなものでしょうか?」
「……はは、何でもないよ。 ただの戯言さ」

――――――
――――
――

 それから数年後。
 山羊頭の男の話を全く信じていなかった少年であったが、実際に数多の魔族を見て、その『世界』に暮らす人々と関わっていくことで、自分が異世界に転生し魔王となったことを信じざるを得なかった。

 あちらこちらで火の手が上がり、黒煙がもうもうと立ち込める廃墟と化した街を少年は無表情に見つめる。
 つい先ほどまで多くの命の営みが行われていたそこそこ大きな街だった。 しかし、今はもうその街に生きる『人間』は存在しない。

「お疲れ様でした、魔王様」
「……山羊。 いたんだ……別に疲れて無いよ」
「そのようですね。 ――またそのような髪色をされているのですか」

 いつの間にか後ろに立っていた山羊頭の男――魔族は名前を持たないが故に、少年は山羊と呼んでいる――に髪色を指摘され少年は苦笑しながら毛先を指先で弄んだ。
 少年の髪の色は見事な金髪となっていた。 もはや母の姿は思い出せないが、両親共に金髪であったことは覚えていた。

「この色にしていると人間は優しいからね。 落ちたリンゴを拾ってあげたら笑顔でお礼を言われたし、子ども達にサッカーを教えたらもうみんな夢中になっちゃって。 楽しかったなぁ。 でも、黒髪を見せた途端に悲鳴を上げながら逃げ出すんだ。 そのうち武器を持って襲ってくる。 酷いよね」
「……黒髪の人間は存在しませんから当然の反応でしょう。 ――魔王様は、人間に好まれたいのですか?」
「好まれたい? あはは、俺が人に好まれるわけないだろう。 魔王だしね。 それにもう――今更じゃないかな。 俺がいくつの街を滅ぼしたか知ってるだろ?」

 山羊の質問を巧妙にはぐらかし、髪色を黒に戻した少年――魔王は乾いた笑みを浮かべて、ふと身体の動きを止めた。

(あ――今……)

 勇者、生まれた……?

【Q.《魔王様の諦め癖。》を合法投棄場へ投棄しますか? →Yes/No】
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