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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第14話 きょうふのいちや!
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いる。
 その時、何かがウェルドの真横の部屋の、窓を破壊した。ルカの目が見開かれる。
「伏せろ!!!」
 パスカが叫んで、ルカに覆いかぶさった。戸板が部屋の内側から吹っ飛ばされ、何かがルカとパスカの頭上を通り、アーサーのポールに激突した。
 紫の剣だった。
 イヴが真っ先に動いた。閃光が視力を奪う。光に打たれた紫の剣の主は、咆哮を上げ、床の上で悶絶する。
「動ける奴から逃げろ!」
 誰か斬られたか、怪我をしていないか、確かめる余裕もなかった。
 ジェシカがパスカとルカに手を貸し、助け起こす。
「あたしは逃げるわ。じゃあね」
 魔法による足止めが効いている内にと、イヴは戸がなくなった部屋に入り、窓枠に手をかける。
「ど、ど、どうしましょう――」
「バカ! 逃げるんだよ!」
 パスカがルカの背中を叩いた。
「俺はこいつを連れて行く、みんなも急げよ!」
「じゃ、悪いけど先に行くね」
 パスカとジェシカが、ルカを引き立てるように連れて行く。窓から隣の建物の屋根に乗り移った。
「ウェルド、ノエルを連れて逃げてください」
 エレアノールが言う。
「あんたは――」
「私のトラップは足止めに使えます。無理はしません……だから!」
「悔しいけど、逃げるしかないわね」
 シャルンが、窓ガラスの散乱する部屋に足を踏み入れた。
「お、おれ、どうしよう――」
「馬鹿! あなたも逃げるのよ! ウェルド、早くノエルを連れて来て!」
 震える足で立ち上がるノエルの肩を抱き、支えた。シャルンとアッシュが共に宿舎を出る。
 雷鳴。二度目の閃光が更に敵をその場に縛り付ける。おぞましい咆哮が響いた。
「行け」
 レイアだった。
「全く、呆然と突っ立っている場合じゃないでしょうに。って、僕は君に言っているのですよ。どうしたんです? 剣なんか抜いちゃって。まさか戦うつもりじゃないでしょうね」
 アーサーがオルフェウスを見た。
「仲間が残っているのに逃げるわけにはいかない! みんな、早くここを出るんだ!」
「イヤですね。僕は最後でいいんです。レディの前で背中を見せて逃げるなんて無様な真似はできませんねぇ。そんな醜態をさらすのは、あなた一人で十分です」
「オルフェウス! 君は――」
「まだ言うのですか? 君は実に頭が悪い。サラさんを連れて逃げろと言っているのですよ」
「!」
 アーサーの目に光が走る。
 悔しさが伝わってきた。外の喧騒が宿舎に押し寄せて来る。
「行こうぜ」
 ウェルドはノエルの背を押し、先に立たせた。
「エレアノール、許せ! 無事でいろ!」
 彼女は頷き、悲しげに微笑んだ。
 ウェルドはノエルの手を引いて、窓から隣の屋根に飛び移った。たちまち熱気に包まれる。路上には、わずかなりとも足止めに使おうとしたのだろ
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