高校2年
第二十話 これが本気だ
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相手も少し浮つくはずや!ええか!」
「「「オウ!」」」
高地の指示に海洋ナインは大きな声で頷き、円陣が解かれる。
(……あのクソジジイにしては随分とまぁシンプルな指示が出たもんやなぁ。ま、監督歴長いクソジジイでも何も言いようが無いわな。とりあえず速い球投げて、あとはスライダー放っときゃ何とかなるってピッチャー相手には。)
6回の表の先頭打者、川道はベンチから出て左打ちから素振りを繰り返す。今日は鷹合の前にフライ2本。高地の言っていた「パターン」にどっぷりハマっていた。
(ま、ボチボチ行こか。新田さんも末広さんも嫌いやけど、別に負けたい訳やないからな。)
川道の頬のこけた顔がより一層引き締まる。
グランド整備が終わり、三龍ナインが守備につく。
<2番、キャッチャー川道君>
5回の整備終了後は、第二のプレーボールとも言われる。仕切り直しの後半戦が幕を開けた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ボール!」
(よーしよしよし)
川道はこの打席、慎重にボールを見ていた。
テンポ良くどんどんと投げ込んでくる鷹合のボールは、全て高めに浮き、うち2球がボールで2-1のカウントができた。
(ボールは振らん。これくそ当たり前な事やけど、やっぱジジイに言われると違うな。徹底できるわ。ここまで高めの真っ直ぐばっかり投げてこられると、やっぱ打ちたなってまうもんな。)
落ち着いてボールを見てくる様子は、マウンド上の鷹合をリードする宮園にも伝わった。
(…さすがに、高めの真っ直ぐを警戒し始めるか。むしろ海洋にしては対策が遅かったくらいだな)
宮園としては、球が走っているとはいえ鷹合の単調なピッチングがここまで海洋に通用している事の方が驚きである。グランド整備の間に打者が頭を冷やせば、ボール気味の真っ直ぐには手を出して来ないだろう事は予想がついた。
…だからといって、どうする事もできないのだが。これが鷹合の唯一の投球スタイルなのだから、どう変える事もできない。
カーン!
「よっしゃァーー!!」
目先を変える為に投げたスライダーが甘めに入り、左打者の川道にとっては絶好球となった。センター前にライナーが弾み、川道が喝采を上げながら一塁に生きる。
(そろそろ、海洋打線が本気出してきたな)
宮園はその会心の打球を見て、内心でつぶやいた。
<3番レフト松本君>
2番打者の川道が塁に出て、打順はクリーンアップへ。海洋ベンチの高地監督から、打者の松本と走者の川道にサインが出る。
(おいおい、初球盗塁かて。ヤンキーなサイン出してくれるやんけ。)
5点を追う攻撃では、ランナーを溜めていかないといけないのが常識で、塁ひとつ進む為だけにリスクを負わねばな
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