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打球は快音響かせて
高校2年
第二十話 これが本気だ
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第二十話



ガキッ!
「ファースト!」

フラフラと力に押されたフライを、ファーストの林がしっかりと捕球する。

「あぁークソッ!」

フライを打ち上げた水面海洋の主将・末広は天を仰いだ。これで3打席続けて三龍の先発・鷹合に手玉に取られている。

「「「いいぞいいぞレンタロー!いいぞいいぞレンタロー!」」」

三龍応援席から声援が飛ぶ。
スコアはいまだ5-0、三龍リードのままで5回表を終わった。初回自らホームランを打った鷹合は投球も絶好調。安打2本、四球2つだけで5回までを無失点に抑えていた。ストレートは今日も140キロをバンバン記録し、コントロールが悪い事が、逆に相手に的を絞らせなかった。

「よしよしよーし!」

三龍ベンチでは乙黒が大喜びだ。
水面海洋相手に、5点の大量リードを奪って有利に試合を進めている。大金星も全く夢ではない。

バシッ!
「ストライクアウトォ!」
「よっしゃ!」

鷹合の好投の影に隠れているが、海洋の2番手・城ヶ島も4番の林にヒット一本を許した以外は1人のランナーも出さずに、ほぼ完璧なリリーフを見せていた。制球力抜群で、小気味良いピッチングを披露している。ストレート変化球共に、カウントをとれるし決め球にも使える。テンポ良く、どんどんとストライクを投げ込んでくる。

カコッ!
「ファースト!」

3番渡辺もスライダーに腰を砕かれてファーストゴロ。1番から始まる5回の裏も三者凡退で簡単に片付け、試合は初回以降膠着して動かない。

(…ふん、リードしよんのはこっちやけ、2番手がナンボええピッチングしようとこのままなら勝つのはウチや)

追加点が取れない状況にも、乙黒は全く動じない(例によって楽観的なだけかもしれないが)。
初回の5点が重いまま、試合は前半戦を終えた。




ーーーーーーーーーーーーーーー



「オノレら、いつまで同んなじよな情けないバッティングしとーんや!」

5回終了後のグランド整備の間、海洋ベンチには円陣が組まれていた。闘将・高地監督が大声で選手を叱責し、その声は内野席に届かんばかりである。

「オノレら春は野球やらしてすらもらえんと、夏もこの体たらくで終わる気か!?勝つ気ないとか!?オノレら何しに海洋来たんや!分かっとっとか!?」

ひとしきり大声で怒鳴りつけた後、高地は円陣を狭めさせ、声を絞って指示を与える。

「ええか、相手の球はまぁまぁ速い。ここまで詰まらされてばっかりやの。高めの球にフライ上げすぎや!高め打つな!目線下げてゴロを叩け!大した芸もないピッチングやけ、考えるんはそれだけや!ええか!」
「「「オウ!」」」
「5点差やけど塁出たら積極的にいくぞ!とにかく一点目とんにいく!一点とりゃ
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