第十五話
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んは《風見鶏亭》の一階にて、食事をとっていた。
「……そうだな……そういや、ここらへんは来たことがなかったから、ここらへんをぶらぶら回ることにするよ」
「だ、だったら私、案内しますよ! ここらの中層は詳しいですから!」
あ、と思ってしまってからはもう遅い。
朗らかに笑顔を浮かべ、「お、いいのか?」という、ショウキさんに対して、「やっぱり恥ずかしいので……」、と断るのは、私には出来なかった。
良心の呵責で悩んでいるとき、突然ショウキさんがメニューを広げた。
「ちょっとメールが……ッ!?」
メールが来た、と言い切らず、ショウキさんの顔は固まった。
メールの内容が、そんなに驚く内容だったのだろうか。
私は、悪いと思いながらも、好奇心に負けて聞いてしまった。
「……どうしたんですか?」
私の問いかけに、ショウキさんはいつもの笑顔で明るく返した。
「……いや、ちょっと用事が出来ちゃってさ。悪いけど、案内はまたの機会に回してもらうよ」
用事――
ショウキさんはまた、他の人を救いに行くのだろうか?
「それじゃ、御馳走様でした」
きちんと礼を言って、ショウキさんは立ち上がった。
「あ……て、転移門まで送ります!」
昼御飯のお代を、私の分まで払おうとするショウキさんに、私はそれをさせじと追いかけた。
「へぇ……コイツ、可愛いなぁ……」
ダンジョンに潜るのは、だいたい朝と夜のため、街にあまり人影は少ない。
いるのは、一旦帰って来て昼御飯を食べにきたプレイヤーと、観光に来たプレイヤーだけだ。
そして、転移門へ歩いている途中、ショウキさんはピナと遊んでいた。
普通は、飼い主以外に懐くことは無いと言われているテイムモンスターだが、ただのデマだったのか、それとも、生き返らせた人だとピナも分かっているのか、ピナはショウキさんにとても懐いていた。
「ピナもきっと、ショウキさんに助けられたことが分かってるんですよ」
「助けたのは俺じゃねぇって。俺は手助けしただけで、こいつを助けたのはお前だよ、シリカ」
そう言いながら、ショウキさんは私の肩にピナを乗せる。
何でだか知らないけれど、ショウキさんは頑なに『助けた』ということを認めなかった。
何かこだわりでもあるのかな……
『ピィ……』
肩に乗ったピナが、私に向けて声を出す……やっぱり、ピナにはバレちゃうよね。
ショウキさんが、他の層に行くと言ってから、私は落ち込んでいた。
……いや、落ち込んでいると言って良いものか、なんだか胸がズキズキと痛む……
「そういえば、ショウキさん。どこの層に行くんですか?」
私の知っている低層であれば、案内出来るかと思った私は、早速シ
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