暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
Dragon and human of mixed race
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
きさ」

結果として、ロキの正体は知られた。
だけど、だからといってティアの項の『それ』の事を話すつもりはなかった。
よく言えばフェミニスト、悪く言えば女たらしのロキは、女の悲しむ事をしないタイプなのだ。

「だけど・・・ここまで来たら、話しても問題ないよね。クロス」
「姉さんに後で怒られるかもしれんが、覚悟の上さ」

肩を竦めるクロスに苦笑いを浮かべ、ロキはナツ達の方を向く。

「ティアの項には――――」

そして、ロキは言った。
はっきりとした口調で、紡ぐ。







群青色(ラピスラズリ)の―――鱗があった」







驚愕襲来。
今日だけで何度目になるか解らない驚きに、ナツ達の目は見開かれる。

「親指くらいのサイズの鱗が並んでた。見た時は驚いたよ」

ロキはそう呟いた。
そりゃあ人間の項に鱗があれば驚くだろう。
―――ティアは人間じゃ、なかった訳だが。

「これが姉さんが竜人であるという証明。姉さんが持つ鱗は、星竜シュテルロギアと同じ色だ。ここまで揃ってしまっては、竜人であるという結論以外有り得なくなる」

否定したくても、これが現実だから。
その姿はやはり姉にそっくりで、2人は双子なんだなと改めて感じさせる。

「何故姉さんだけが竜人で、俺が人間なのかは解らない。出来る事なら・・・変わってあげたい。こんなの、不公平すぎる!」

ダン!と。
クロスが思いっきりカウンターを拳で殴りつけた。
怒りに体を震わせる。

「力を持たない竜人の姉さんに、お父様の愛人の子である為白い目で見られる兄さん・・・兄弟の中で、俺だけが何もない。俺だけが唯一何の痛みも背負ってない!それが何より憎たらしい!何も出来ない俺がっ!」

力を持たず、更に竜人として生まれた事で、ティアは辛い運命を強いられた。
力は持っているものの、父親の愛人の子として生まれたクロノは、強い風当たりを受けていた。
そしてそんな兄と姉の辛さを知っているのに何も出来ない事に、クロスは自分に対して怒りや憎しみを抱いてきた。
誰も幸など持っていない。全員がそれぞれの不幸を抱えている。
それを1人は抱え込み、1人はそれを感じさせない程に明るく振舞い、1人は分けてもらおうとしている。

「・・・だから、姉さんをこれ以上不幸にする輩は許さない」

声が、変わった。
結果として、その声はクロスのものだ。
だが、その声に込められている感情は、いつものクロスのものではない。

「カトレーンの一族を、滅ぼしに行く」













カトレーンの本宅。
その一室に、ティアはいた。
服装はシャロンが着替えるよう命じた、純白の尼僧服。

「こうい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ