Dragon and human of mixed race
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きさ」
結果として、ロキの正体は知られた。
だけど、だからといってティアの項の『それ』の事を話すつもりはなかった。
よく言えばフェミニスト、悪く言えば女たらしのロキは、女の悲しむ事をしないタイプなのだ。
「だけど・・・ここまで来たら、話しても問題ないよね。クロス」
「姉さんに後で怒られるかもしれんが、覚悟の上さ」
肩を竦めるクロスに苦笑いを浮かべ、ロキはナツ達の方を向く。
「ティアの項には――――」
そして、ロキは言った。
はっきりとした口調で、紡ぐ。
「群青色の―――鱗があった」
驚愕襲来。
今日だけで何度目になるか解らない驚きに、ナツ達の目は見開かれる。
「親指くらいのサイズの鱗が並んでた。見た時は驚いたよ」
ロキはそう呟いた。
そりゃあ人間の項に鱗があれば驚くだろう。
―――ティアは人間じゃ、なかった訳だが。
「これが姉さんが竜人であるという証明。姉さんが持つ鱗は、星竜シュテルロギアと同じ色だ。ここまで揃ってしまっては、竜人であるという結論以外有り得なくなる」
否定したくても、これが現実だから。
その姿はやはり姉にそっくりで、2人は双子なんだなと改めて感じさせる。
「何故姉さんだけが竜人で、俺が人間なのかは解らない。出来る事なら・・・変わってあげたい。こんなの、不公平すぎる!」
ダン!と。
クロスが思いっきりカウンターを拳で殴りつけた。
怒りに体を震わせる。
「力を持たない竜人の姉さんに、お父様の愛人の子である為白い目で見られる兄さん・・・兄弟の中で、俺だけが何もない。俺だけが唯一何の痛みも背負ってない!それが何より憎たらしい!何も出来ない俺がっ!」
力を持たず、更に竜人として生まれた事で、ティアは辛い運命を強いられた。
力は持っているものの、父親の愛人の子として生まれたクロノは、強い風当たりを受けていた。
そしてそんな兄と姉の辛さを知っているのに何も出来ない事に、クロスは自分に対して怒りや憎しみを抱いてきた。
誰も幸など持っていない。全員がそれぞれの不幸を抱えている。
それを1人は抱え込み、1人はそれを感じさせない程に明るく振舞い、1人は分けてもらおうとしている。
「・・・だから、姉さんをこれ以上不幸にする輩は許さない」
声が、変わった。
結果として、その声はクロスのものだ。
だが、その声に込められている感情は、いつものクロスのものではない。
「カトレーンの一族を、滅ぼしに行く」
カトレーンの本宅。
その一室に、ティアはいた。
服装はシャロンが着替えるよう命じた、純白の尼僧服。
「こうい
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