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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第330話】
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」
「え? そ、そうだな……うーん……」
直ぐに名前が思い付かない――と。
「ふふっ、責任重大ね、ヒルト?」
「お兄ちゃん、いぬきちみたいな名前は止めてよ? お兄ちゃんの友達の犬にその名前をつけて、犬も目を丸くしてたんだから」
……いや、いぬきちみたいな顔してたからなぁ……あのワンコ。
もう既に事故で無くなったが、当時の友達の犬を思い出すと自然と笑みが溢れた。
……と、犬の話はその辺りに置いておき、ふと村雲・弐式を纏ったのが確か四月の春爛漫な季節だったなと頭を過った。
「……んじゃ――美しい春で『美春』でどうだ?」
一瞬の静寂――変な名前では無いとは思うのだが……。
「……ヒルト? ど、どうしてその名をつけようって思ったの?」
目をキラキラと輝かせるムラクモもとい、美春。
「……単純だが、村雲・弐式と出会ったのが春だから。 後は日本の四季の中でも春は桜とかで綺麗だしな。 ……まあ四季折々、他の季節にも良いところもあるがな、これが」
ちゃんと残りの四季のフォローも入れてみる。
夏は女の子の水着とか、秋は紅葉や焼き芋とか、裸婦の絵画とか、冬はウィンタースポーツ――スキーウェアを着た女の子の異常な可愛さやスケートで転んだ時の女の子のパンチラ等々――。
「……えいっ!」
いつの間にか隣に来ていた美冬に、脛を本気で蹴られてしまう。
「ぐおぉぉぉ……な、何をする美冬……」
「……お兄ちゃんがえっちな事考えてるからでしょ」
ズバリと指摘する美冬に、ギクリとしてしまう。
……最近はエロい事を考えても蹴られなかったから油断してたぜ……地味に痛い。
「あらあら? ヒルト君ってば思春期真っ盛りねぇ〜。 ……そういう事は、部屋で一人の時に考えないとね? アハハッ♪」
茶化す様に言う楯無さんの姿は、まるで弟をからかう姉のような姿にも見えた。
「……ともかく! これからは美春だ! わかったな? 今更名前が気に入らないは無しだぞ?」
「あらあら? ヒルトってば今回は強引ねぇ〜。 うふふ、他の子が見たら惚れ直しちゃうかもねぇ〜」
――等と言いながら茶化す母さんの言葉に、少し顔が赤くなる。
「……へへっ、強引なんだから……わかった。 これからは『美春』ね! 皆、よろしくね♪」
目映いばかりの笑顔を見せた美春。
さっきまでは借りてきた猫の様だったが、嬉しさからか素の自分を出していた。
そんな美春を皆も微笑ましく見ながら各々に自己紹介を改めて行った。
窓から外を眺める。
太陽がゆっくりと沈んでいく。
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