第四章
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第四章
「今のを防いだのは君がはじめてだ」
「俺もです」
その掌底を防いだのはだ。劉がはじめてだというのだ。
「御見事です」
「君の様な相手ははじめてだ。ではだ」
「それではですね」
「より戦わせてもらおう」
こうしてだ。二人はだ。
激しい攻防を繰り広げた。その攻防は何時終わるともなく続いた。
蟷螂の鎌と気を主に使う劉に対してだ。李は掌底と蹴りの接近戦で応じてだ。互いに一歩も譲らずだ。遂に試合時間が終わった。
両者は地に立っている。互いに肩で息をしている。しかしだ。
その目は死んでいなかった。構えも解いていない。だが試合は終わった。
後は判定だった。審判達はだ。
互いに話をしてそのうえでだ。あらためてだ。
試合の場にあがりだ。こう観客達に言ったのである。
「双方優勝!」
「こう決まりました!」
その判定を聞いた観客達はだ。驚きだ。
そうしてだ。こう口々に言うのだった。
「こんなのはじめてだな」
「ああ、この大会じゃな」
「まさかこうなるなんてな」
「けれどそれでもな」
「妥当だな」
両者譲らずの勝負だった。それならばだというのだ。
「それしかないな」
「ああ、いい判定だよ」
「じゃあ賞金は山分けか?」
「名誉はそのままでな」
こう話されるのだった。そしてだ。
李は優勝しだ。賞金を貰うことになった。しかしだ。
もう一人の優勝者、彼と戦った劉がだ。微笑み李に言ったのである。
「私は既に何度も勝ち多くの賞金を手に入れている。それにだ」
「それにとは」
「確かな職もあり生活にも困っていない」
だからだというのだ。
「賞金は君に譲ろう」
「ですがそれは」
「何度も言うが生活には困っていないのだよ」
微笑みのままだ。彼は李に言うのだった。
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