ターン5 鉄砲水と過去の源流
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やめて……」
「集中集中。はい、じゃあ次はこのページね」
なんだかんだいって、この人………じゃない、この霊の授業はわかりやすい。だからこそ、僕も最近はじわじわ成績が上がってきているのだ。入学試験時は110人中92番だったけど、今の平均はなんと88番ぐらい。これはすごい進歩だと我ながら思う。
…………いかん、いくらなんでも虚しくなってきた。
「さて、と。とりあえずこれだけ詰め込んどけば赤点は回避できるかな?間違いなく言うこと聞かないのはわかってるけど、普段から勉強しておこうね」
「あーあー聞こえなーい聞こえない〜」
私は何も聞いてませんよー?的なオーラを全面的に出しつつ、お小言が増える前にとっとと退散する。まったくもう、とため息をつきながらもこれまた心霊現象の一種なのだろうか、稲石さんが片手をあげると錆びついた門がひとりでに開いたので、そこから外に出る。
そういえば、今日はあのカイザーの試合がテレビ中継される日だっけか。卒業してプロになったカイザーは当然のごとく連戦連勝で、ファンも多いと聞く。よし、夜になったら見てみようっと。
そんなことを考えつつプラプラ歩いていると、ポケットに突っ込んであったPDLが音を立てた。おや珍しい、僕の番号を知ってる人がほとんどいないからこっちから使うことはたまにあってもこっちが呼び出されるなんてめったにないのに。どうせ葵ちゃんからの砂糖を切らしたとか小麦粉をぶちまけたとかいう報告だとは思うけど。
『もしもし清明?だってさ』
「む、むむむ夢想!?」
ビックリした!!なんかもう例えるならチャクチャルさんが目を覚ました次の日からしばらくの間ナスカでシャチの地上絵が一夜のうちに消えさりましたってニュース見た時と同じくらいびっくりした。
『ちょっと、大丈夫?って』
「え、え、え、なんで?えー嘘、なんでこの番号知ってるの!?」
『ああ、それ?それは、ほら。はい、かわりに喋ってくれる?だって……………あ、もしもし先輩ですか?私です、葵です。なんでも夢想先輩が先輩の連絡先を教えてほしいって言ってたからこの番号伝えましたけど、もしかしてまずかったですか?』
「い、いや。盛大に驚いただけだから。みりんと醤油を間違えちゃうようなもんだよ」
『あー、それは確かにキツイですねー。じゃ、そろそろ夢想先輩に戻りますので…………ってことなの、なんだって』
うん。確かに店の関係でトラブルがあったらすぐ僕に連絡ちょうだいって葵ちゃんにはアドレス教えてあったから、確かに筋は通ってる。それにしても若干、どころかかなりカッコ悪いところを見せたような気がする。気がするんじゃなくて完全に見せた。くっ、今からでもなんとか誤魔化せるだろうか。
「ごめんごめん、いきなりだったからつい。
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