生命の木
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コに似ているのじゃないかと話して笑った。ズザンナも、うん、そっくりだと、仏教徒の緑川のことを受け合った。
レナータは緑川の布団から出ると裸のまま横に座り、緑川が早く元気になることを祈った。ついで、いやいやながらも、ズザンナたちが言うとおり、自分の母親の幸福を声に出して祈ってみた。
月曜日、きのう久しぶりに酒を飲まないで夜を過ごしたというのに、緑川の疲れは抜けていなかった。その日は出勤したのだったが、晩になっても疲れはひどく、しかも夜通し眠れなかった。そこで翌日会社を休んで医者に行ったところ、軽いうつ症状だと言われた。
もらってきた安定剤を飲むと、神経質な気分はぼんやりと麻痺したように治まった。何かに取り掛かる気にも外出する気にもなれず、一日部屋に緑川はいた。夜は睡眠薬を飲んで寝た。
疲れもだるさも変わらないばかりか、薬の副作用も翌日にはあった。それでも緑川は出勤し、帰りはどこにも寄らないで電車に乗った。そしてレナータに会った。レナータは緑川の隣に腰掛けた。ちょっと調子が悪いんだと緑川が言うと、レナータはあたしがいてあげるとすぐ答えて緑川の手を握った。しかし、緑川には、これまでのことが暗く思い返されて、この子のことは何とかなるのだろうか、そして今日もこれからも自分は罪を犯し続けるのかと考え、目をつぶった。レナータは緑川の頭を胸に抱いた。電車内ではおかしな行為のはずだったが、もうどうでもいいと緑川は思った。半袖の腋から漂うレナータのにおいに、緑川は少しだけ楽になった。
家に着いたら緑川は真っ先に横になった。服はレナータが脱がせてくれた。大人とは違う女の子のにおいが空腹を誘った。瞑目していた緑川が豆電球の薄暗がりに目を開けると、ただレナータのそれだけが視界に入り、またすっと楽になるのを感じた。緑川は、夕食はいらないと思った。
だいぶ経ったように思われた頃、呼び鈴が鳴り、ズザンナですと声がした。時計はまだ八時だった。緑川はレナータに服を着せて、出てもらった。
ズザンナは、父の用事で来たのだけれど、やっぱり自分が来てよかったと言って上がった。電気を点けていいかと聞くズザンナに、そうしてもらうと、赤いジャージ姿のズザンナが緑川に明るく印象的だった。それまで知らないことだったが、ズザンナは陸上部なのだそうだ。布団から起き上がろうとする裸の緑川をズザンナは手で止め、自分がそばに座った。
ズザンナは、あしたにでも父が話をしたいと言っていること、レナータの母親と、きのうおとといと長い電話のやり取りがあったことを緑川に告げた。緑川は話の前者に、レナータは後者に大きな不安を抱いた。
「何も心配しないでくださいね。」
そう言うと、ズザンナは緑川の額の辺りにそっと手を置いてから、電気を消して帰っていった。
拍車をかけた調子の悪さに緑川は
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