曹操聖女伝第4章
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か御力を」
「私は徐州の惨劇をつぶさに見て来た。あのような事がこの世に在ってはならない。早急に立て直しましょう」
車冑はこんな風に近くの州刺史に助力を求めていたが、袁術は聞き入れていないらしく、揚州刺史の陳温の死後の混乱につけこみ、揚州を奪取し寿春を拠点とした。正式な揚州刺史の後任である劉?(字は正礼)は袁術を恐れて曲阿に駐屯せざるをえなかった。
この様な信用出来ない野心家が隣にいて、しかも領地は前任者の冷酷暴虐によって荒れ放題。車冑の苦労は想像を絶するものとなろう……。
それから暫くして、漸く無数の蝗の群れが?州から去ってくれたので、曹操軍と張?軍との戦いが再開された。
興平2年(195年)春、曹操軍は定陶郡を攻撃。南城を陥落させられなかったが、折り良く呂布が着陣してきた。
「うおぉー!曹操は何処だー!」
相変わらずな呂布。曹操を探し求めて戦場を彷徨う。曹操は遂に呂布との一騎打ちをする事になった。
「ほお、呂布、おぬしか」
「この時を待っていたぞ曹操!」
曹操から見れば、呂布は必ず葬らねばならない相手ではなかった。しかも曹操は、ここで呂布を斬る気は全くなかった。
「いくぞー!」
呂布の叫びに曹操は無言であった。
呂布は曹操の繰り出す斬撃を悠々と捌きながら叫んだ。
「何をしている曹操!なぜ神兵化しない!?」
それに対して呂布の変々戟をかわすのが精一杯な筈なのに呂布を褒める余裕さえある曹操。
「さすが歴戦の強者、見事だ」
「ほざくな!」
呂布は必死だ。其処へ??が軽口をたたく。
「サッサと俺に替われー!」
それを聴いた呂布が言い放つ。
「黙れ!邪魔するな小娘!」
??が曹操の意思を無視して呂布に飛びかかろうとしたので、二郎真君が後ろから??を羽交い絞めにした。
「放してくれ!もう我慢ならねえ!」
だが、曹操の言葉によって場の空気が一気に重くなった。
「ねぇ、“弱い”ってそんなに悪い事なの?たとえ弱くても微力を尽くして生き続けようとする。それを祈った心は、裁かれなきゃいけないほど罪深い物なの?」
さっきまでふざけていた??が冷や汗を湯水の様に出していた。
(重めぇ……最初とは比べ物にならないほど重めぇよ。まるで自分の想いを込めた一撃だぜ)
「ふざけんな!そんな権力者の綺麗事に縋った結果がこれだ!陶謙に裏切られ、張?に裏切られ、それでもそんな軟弱な綺麗事に縋るか!?」
それに対して曹操は笑顔で言い放つ。
「呂布。貴方の野望は若い。非常に若すぎて赤ちゃんの様に脆い」
「馬鹿げた事を言うな!敵など力でねじ伏せれば良い!今の世に必要な物は力だ!」
「誰だって自分の安寧を壊されたくないし、誰だって自分の命を丁重に扱いたい。それが解らない内は、貴方の野望は若いままだ。その様な者に神兵化を使う必要は……無
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