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ニヒリズム
第五章
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ここにいても何にもならないし」
「それならね」
「じゃあ人を呼んでね」
 こう話してだった。彼等は去った友人を見送るのだった。そこにはタスカーはもうなかった。代わりにだ。このうえない虚無があるのだった。
 そしてその虚無についてだ。伯爵は述べた。
「タスカーじゃないけれど」
「そうだね。それはないけれど」
「何かね」
「心がからっぽになるよ。虚しいよ」
 虚無にだ。こう言ったのである。
「こんな気持ちははじめてだよ」
「けれどこの気持ちは忘れられない」
「そういうものみたいだね」
 友人達も虚無を感じていた。それはえも言われないものでだ。彼等の心の中にありそこからだ。彼等を覆っているものだった。


ニヒリズム   完


                  2011・10・22

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