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乱世の確率事象改変
彼らの名は
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憧れた。
 同時に心の中で友達を褒めた。

――明、あんたって誇りなんか持ってないっていうけど、十分に誇り高くてかっちょいい女だよ。

 答えが見つかった文醜は大きく、深く息を吐いて脚を踏みしめた。
 ズシリと、重い音が鳴り響き、徐晃隊はその眼を見て意識を切り替えて行く。

「其処を通して貰うぜ。あたいにも守らなくちゃいけない大切な人がいる。その為に、お前らの大将を捕まえさせて貰う」

 自身の想いを確かめた彼女の顔は真剣そのモノであった。
 チラと後ろで大きくなり始めた炎を確認した副長は、厳しい瞳を細めて文醜の前に立ちはだかる。

「俺らの壁を抜けて見ろ。仲間を殺す覚悟があるならな」

 大型武器で戦うならば、狭い橋の上で周りを巻き込むは必然。煌々と燃え広がり始めた火の上を駆け抜ける時間が少ないのも一つ。

「一人でやってやるさ。さあ……いくぜ」

 瞬時に、文醜は大剣を横に薙いだ。最少の動作で行われたそれは速く、反応出来なかった徐晃隊の二人を切り飛ばす。
 副長はそれを膝を折って避け、そのままの流れで双剣で斬り上げる。
 文醜の対応は簡単なモノだった。身体を後ろに傾けただけ。交差する地点、己が身体に当たる場所を見極めていた。
 流れるように、薙いだ大剣を背で持ち替えて次に放つのは……自身の力強さを信頼して無理やり身体を起こし、大きく踏み込んだ一歩での袈裟切り。
 剣を重ねて防御に当たった徐晃隊二人を吹き飛ばし、整った兵列による巻き込みで六人を橋から落とした。
 これ以上はやらせまいと徐晃隊の三人が後続から突きを放ち、真横から副長が逆袈裟を放つも……大剣を橋に突き刺して副長の剣を、刺突は全て避け、突きだされた一つの槍をその手に握る。

「おらっ! ぶっ飛べ!」

 掛け声と共に、一人の徐晃隊員を蹴り飛ばした。後続の徐晃隊は秋斗との訓練で鳴れている為にそれをどうにか避けられたが、訓練と同じように一寸だけ連携に繰り出すのが遅れる事となった。
 その機を逃す文醜では無く、無理やり引き抜いた大剣を叩きつけて三人を、掲げた剣ごと地に伏せさせた。
 そこでゾクリと寒気が一つ。彼女は急いで橋のギリギリまで飛びのいた。
 振り切られるのは副長の双剣。押し寄せる後続袁紹軍の兵からの剣を腕に受けながらの攻撃であった。幸い、鎧が厚い為に副長は軽くキズを負っただけであった。
 同時に徐晃隊は五人で文醜へと向かった。しかし……彼らは武器を振ろうとはしなかった。
 一人が文醜に切り捨てられ、その後ろから一人が身体に飛びつく。もう一人が脚に絡みつき、二人が無理やり押し倒して覆いかぶさった。

「ぐっ!」

 背を打ち、苦悶の声を上げた文醜は直ぐに目を見開く。

――ああ、このままじゃダメだ。こいつらは……仲間
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